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その双眸に青い光が爛々と宿る。
女が少年を見た。
「誰だ?」
凛とした声。
「武龍」
少年が答えた。
「お前の名は?」
今度は武龍が訊ねた。
「静香」
女が答える。
静香が自分の両手を見つめた。
「私は死んだはずだが?」
静香の問いに武龍が頷く。
「お前の強い魂を感じた。私が、お前を生き返らせた」
「何故だ?」
さらに静香が訊いた。
「私の手伝いをしてもらう」と武龍。
静香の両眼が細まった。
「言う通りにしろと?」
「そうだ」
「断ったら?」
「お前は再び死ぬ」
静香が黙った。
武龍が右手のひらを静香に向けた。
しばらくの後、武龍が口を開いた。
「『日の本を斬りたい』とは恐ろしい野望だな」
静香の双眸が、ぎらついた。
しかし、何も言わない。
「どうする?」
武龍が訊いた。
「日の本を斬る以外に興味は無いか?」
静香は思案した。
死ぬ直前の静香には、日の本を斬りうる力があった。