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灯りに照らされた広々とした部屋には、数人が居るのが見えた。
まずは上座にどっしりと座り込んだ神経質そうな一人の侍。
齢は四十ほどか。
さぞ、値が張りそうな美しい仕立ての着物に身を包んでいる。
侍の横には若い太刀持ちの小姓。
何かのときに中央の侍を守る役目と思われる、体格が良い六人の侍たちが左右に三人ずつ控えていた。
空怪の立つ場所と上座の侍の丁度、中間の位置にどちらも見渡せる形で鎮座する男が居る。
侍姿で中年ではあるが…両眼の辺りを隠す黒い仮面が、年齢を分かりにくくしている。
仮面の外を見通せるように空けた穴から、血走った双眸が竜丸をにらみつけた。
そのあまりに強く、狂気さえ感じさせる眼力に竜丸は、ぞくりと全身が震え、泣きそうになった。
「遅いぞ、空怪!!」
仮面侍が叱責した。
恐ろしい迫力であった。
空怪は素早く自らの履き物を脱ぎ、竜丸のものも脱がせると、その場に倒れるように平伏した。