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「うん、仲間だね!」
春馬が同意した。
隼人が眼を細める。
「春馬と蜜柑の関係は仲間以上だけどな」
隼人の言葉に蜜柑と春馬の顔が真っ赤になった。
まずは無法丸が、その場を去った。
(縫の墓参りに行くか)
美剣と話したことで、かつて交情のあった女を思い出していた。
次に静香、奇妙斎、そして三人の巫女たちが去った。
そして隼人が去る。
最後に残ったのは蜜柑、竜丸、夜叉姫、春馬、陽炎だった。
夜叉姫は今一度、父の遺体に手を合わせた。
「里の者と連絡を取り、ご遺体は小諸城へ運びます」
陽炎が言った。
夜叉姫が再び、こみ上げてきた涙をこらえ、頷く。
「では」と陽炎。
五人は鬼道城を去った。
主人を失った巨大な脱け殻のような城だけが、そこに残された。
暗闇の回廊を進む三人の姿があった。
正確に言えば、一人は首に繋がれた鎖で、ずるずると引きずられている。
「冥様、お許しを!!」
信虎が、わめく。
冥が、その顔面を踏みつけた。