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「春馬は蜜柑と小諸城へ行け」
隼人が言った。
「ええ!? そ、そんな…僕だけ? 隼人は?」
「だから俺は修行だって! お前は見聞を広めたいって言ってたろ。もしかしたら、小諸城に『師匠』の手がかりがあるかもしれないぜ」
「でも…隼人を一人には…」
隼人が両腕を胸の前で組んだ。
「俺は今回の戦いで分かった。悔しいけど」
表情が曇る。
「俺は、まだまだ弱い。じじいの言う通り、もっと技を磨かないと。そのためには、どんどん強い相手と戦って死線をくぐらないとな」
「隼人…」
「大丈夫、心配するなって」
隼人が、にかっと笑った。
「俺は死なねーよ! 強くなったら、また逢おうぜ。そのときは小諸城にも寄るよ」
「うん、必ずだよ」と蜜柑が頷く。
三人は笑顔になった。
「隼人、春馬、本当にありがとう。二人には、どんなに感謝しても足らないよ」
蜜柑が言った。
二人の間に入り、肩を組む。
「水くさいこと言うな! 俺たち、仲間だぜ!」と隼人。