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骨だ。
次々と勢い良く飛び出す無数の骨が、次第に繋がって形を成していく。
あっという間に、少年の前には頭がない人間の骨が立っていた。
少年の右手が今度は人骨へと向けられる。
人骨の周りに血管が現れ、臓器が造られていく。
続いて、肉が戻る。
少年の前に立つのは今や、首なしの人骨ではない。
裸の女の、すらりとした青ざめた身体であった。
「首を拾え」
少年が首なしの女に言った。
女の身体が膝を折り、地面へと両手を下げる。
女の両手は地面にぶつかり、そのまま、まるで水面のように通り抜けた。
両手が引き上げられる。
両手に掴まれた、女の生首が現れた。
黒色の長髪。
細面の美しい顔である。
両眼は閉じられている。
二十代前半ほどか。
首なしの身体が頭を持ち上げ、首の上に乗せた。
頭と首が繋がった。
切断されていた部分が、線状の傷痕として残る。
ここに美しい一人の若い女の死体が完成した。
否。
ただの死体ではない。
女が、かっと両眼を見開いた。