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武龍伝  作者: もんじろう
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 夜叉姫は気丈(きじょう)にも自らの涙を拭い、蜜柑に笑顔を見せた。


「義姉様、夜叉にございます」


 夜叉姫が頭を下げる。


「妻」という言葉に蜜柑は、ぎょっとなった。


 武丸が信虎の企みを暴いた折に、竜丸が将軍家の娘を娶ったことは、すでに語られている。


 状況としては理解していたが、実際に竜丸の口から「妻」という言葉を聞き、夜叉姫を間近に見てみると、子供と思っていた弟が急に大人になったようで、やはり戸惑いを感じた。


「夜叉殿は…このまま…?」


 さらに蜜柑の中では、二人の婚礼は強要されたものとの認識である。


 異常な状況下での婚礼は二人が不本意であれば、無かったことにするのも、やぶさかではないと考えていた。


 蜜柑の言葉に父親の死の悲しみも、とりあえずは横に置いて、夜叉姫の生来の気性の激しさが、むくむくと鎌首(かまくび)をもたげた。


「義姉様」


 蜜柑を美しい瞳で食い入るように見つめる。


「この夜叉は、どんなことがあろうとも竜丸に()()げる覚悟にございます」

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