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武龍伝  作者: もんじろう
192/204

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 いつの間にか、冥の手には先端に鉄の輪が付いた鎖が握られていた。


 冥が鉄輪を信虎の首にはめた。


 信虎を押さえていた圧力が解ける。


 冥が信虎の顔を踏みつけた。


 骨が折れる音が響く。


 常人であればもう、とっくに死んでいる怪我だが、信虎は死なない。


 永遠に続く地獄の痛み。


「やめてくれ! やめてくれ!」


「黙れ!! 喋ったら殺す!!」


 冥が大喝(だいかつ)した。


 信虎が、ぴたりと黙る。


「こいつは、これから永久に苦しみ続ける」


 冥が、にやーっと笑った。


 見る者の心胆(しんたん)を凍りつかせる、恐ろしい笑みであった。


「武丸」


 冥が言った。


「収めな」


「はっ」


 武丸が頭を下げる。


 呆然と成り行きを見守っていた蜜柑たちの前に立った。


「皆、難儀(なんぎ)をかけた。申し訳なかった。特に」


 武丸が夜叉姫を見つめる。


「そなたの父は残念であった。私も万能ではない。許されよ」


 武丸の言葉に夜叉姫は涙を流し、頷いた。


 その涙を抱き合った竜丸が(ぬぐ)ってやる。


「蜜柑、竜丸」


 武丸が言った。


 二人が武丸を見る。


「姉弟、仲良くな。お互いを思いやるのだぞ」


 二人は頷いた。


「叔父上」


 蜜柑が言った。


 武丸が母の弟だと確信していた。


「小諸城へ、おいでくださいませ。母も逢いたがるはず」


 武丸が首を横に振る。

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