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武龍伝  作者: もんじろう
19/204

19

 よだれを垂らさんばかりの腕丸の八本刀が蜜柑を襲う。


 虎然の六本の腕が、襲いくる刃を受け止めたが。


「ひひひっ!! お前は六本っ!! 俺は八本っ!!」


 左右一本ずつ残った腕丸の一番下の一組が、すくい上げるように蜜柑へと突進していく。


「ひひひっ! 死ね、小娘っ!!」


 かん高い金属音を上げ、腕丸の二本の刀が止まった。


「なっ!?」


 腕丸の笑顔が消えた。


 蜜柑の背後より、いつの間にか伸ばされていた二本の刀身が、がっしりと腕丸の刀を受け止めていたからだ。


 蜜柑と虎然の後ろに誰かが居る。


 蜜柑も、その気配を感じた。


 何者かが蜜柑の奥襟(おくえり)を掴み、後ろに引っ張った。


 蜜柑の背後から二本の刀を出した人物が、入れ替わりに前へと出る。


 青年、否、少年であった。


 蜜柑より、やや年上か。


 逆立った黒の短髪。


 右眼は刀の鍔を眼帯代わりに当てている。


 山袴(やまばかま)穿()いた剣士の風体だ。


 肌は浅黒く、隻眼(せきがん)は猛獣のように鋭い。


 なかなかの体格、細身だが筋肉質であった。


 少年剣士は両手にひと振りずつ持った刀で腕丸の刀を押し返すと、自らの二刀を右手の刀は左腰の、左手の刀は右腰の鞘へと納めた。


 呆気に取られている腕丸と、刀が届く距離で相対する。


春馬(はるま)!」


 少年剣士が言った。


「その女の子は任せた」


「うん」

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