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「ま、待て!!」
信虎が声を荒げた。
「わしが話す!!」
突如。
すさまじい殺気が大広間に満ちた。
先ほどの美剣の剣気よりも激しいものである。
殺気は、門から現れた女より噴出していた。
「あたしは武丸に説明しろって言ったんだよ! お前は黙ってな!!」
ついさっきの艶っぽい雰囲気とは、まるで違う地獄そのものから響いてくるような威圧的な声に、信虎は首をすくめ黙り込んだ。
「武丸」
再び、女が促す。
「私は」
武丸が口を開いた。
「冥様に拾われました」
妖しい女、冥が頷く。
「そして、死した身になっても叶えたい望みを冥様のお力添えで果たしました。おかげで姉は命を救われる結果に」
武丸は蜜柑と竜丸の顔を見つめた。
その瞳には柔らかい温かさがあった。
「望みを叶えた代償に、私の魂は未来永劫、冥様のものとなりました」
「何だい、何だい?」と冥。
「昔話かい、武丸?」
ふふふと笑う。
「そこな信虎も」
武丸が信虎を指す。
信虎は脂汗をだらだらと、かいている。
「死して冥様に拾われ、望みを叶えるために生き返りました。私は信虎を手伝う役目を冥様より仰せつかりました」
「そ、そやつは!!」
信虎が叫んだ。
「お前の言いつけを守らず、わしの邪魔をしたのたぞ!! 武丸はお前を欺いておる!!」
「へー」
冥の瞳が光った。