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しかし、その顔に余裕は無く、再び信虎の刀が隼人を押し始めていた。
「お前は、ここで死ぬべきではない! もっと高みを目指せ!!」と美剣。
「くっ!!」
隼人が黙った。
「では『大剣豪』美剣!!」
「おおう」
「いざ!!」
「いざ!!」
「「魂繋ぎ!!」」
二人の声と共に美剣が蜜柑に重なり、半透明となった。
美剣が空中から出現した太刀を左手に掴む。
右手で柄を握り、居合いの構えをとる。
途端に美剣の身体から重々しい剣気が放出され、大広間へと満ち満ちた。
刹那。
「大剣豪斬りっ!!」
美剣が咆哮する。
斬っ!!
大刀が抜き放たれ、斬撃は隼人を押しきろうとしている信虎に飛んだ。
太刀は一瞬で信虎の首と両肩の甲虫脚を根本から、はね飛ばした。
あろうことか、剣撃はそれだけに留まらず、剣気が衝撃波となって大広間の襖や壁、柱へとぶつかった。
襖は横に両断され、壁と柱は煙を上げ、ややずれた。
大広間全体が振動する。
「やり過ぎじゃ、みっちゃん!!」