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勝利に酔っていた信虎が、そちらへ視線を走らせる。
他の五人も顔を向けた。
そこには。
蜜柑たち、七人が立っていた。
「何だ、お前たちは?」
信虎の言葉に蜜柑は怪訝な顔をした。
「竜丸!?」
弟に呼びかけるが、その霊能力に秀でた瞳は竜丸以外の、もうひとつの気配を感じ取った。
「竜丸に何かが憑りついている!」
「よく分かったな、小娘」
信虎が言った。
「では、お前が蜜柑か。ここまで、たどり着くとは運が良い奴」
信虎の言葉に蜜柑は眉を吊り上げた。
ようやく見つけた弟が、何か邪悪なものに身体を奪われているとは。
大広間へと侵入し、七人は信虎の元に進んだ。
七人の中でも、さらに足早に進む者が居る。
静香であった。
腰の刀に右手をかけ、信虎へと疾走する。
竜丸の声の調子と全身より立ち昇る邪気から、その正体が自分を騙した狂虎、すなわち信虎であると看破していた。
この勢いのまま、信虎を斬るつもりである。
他の六人が、静香の殺気に気づく。