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煙の法師が答える。
「ボクに力を貸して」
「かかかかっ!」
虎然が大笑した。
「久しぶりに刀供養が出来るなら、喜んで力を貸すぞ!」
飛刃が両手から六枚の刃を放った。
左右から曲線を描いて蜜柑へと飛んでいく。
「では虎然!!」
「おう」
「いざ!」
「いざ!」
「「魂繋ぎ!!」」
六枚の刃が蜜柑の身体を切り刻むかと思われた、その刹那。
半透明の法師、虎然の手が全ての刃を同時に掴んだ。
そう、寸分違わず同時に受け止めた。
虎然には太い両腕とは別に、背中より生えた四本の腕があったのだ。
飛来する六枚の刃の軌道を瞬時に見切り、蜜柑に当たる前に虎然が掴んでみせた。
「な!?」
攻撃をしのがれ、驚愕する飛刃に蜜柑が迫った。
虎然の六本の腕が一斉に飛刃に突き込まれる。
それぞれの手には、飛刃のくの字刃が握られていた。
飛刃の身体に自らの武器が突き刺さる。
「あががっ」
それが飛刃の、この世の最後の言葉となった。
飛刃が倒れる。




