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武龍伝  作者: もんじろう
154/204

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 奇妙斎が静香の背後を指した。


「ちと、お互いに夢中になりすぎたようじゃのう」


 静香が振り向く。


 そこには狂虎も空怪も、そして桜の姿も無かった。


 静香の美しい顔が、鬼の形相に歪んだ。


「狂虎め…」


「それでは」


 奇妙斎が静香に言った。


「かわいい娘さんを助けに行くとするかな、きれいな娘さん」




 鬼道城の本丸御殿へと、狂虎と空怪は桜を連れ帰ってきた。


 桜は狂虎の当て身によって、気絶している。


 突如、現れた三人の姿に上座に座った将軍家、鳳忠久はぎょっとなった。


 周りの六人の侍たちも、何事かと刀に手をかける。


 狂虎は将軍家を見つけると、すぐさま居住まいを正し、平伏した。


 空怪も桜を降ろし、狂虎にならう。


「忠久様、最後の『門鐘の巫女』を捕らえてまいりました」


 狂虎が言った。


「何と!!」


 将軍家の声が、うわずった。


「では、異界の軍を呼び出せるのか?」


「はっ」


 狂虎が頭を下げる。


「ただし、夜叉姫様の婚儀が、お済みになってからでございます」


「ううむ」


 将軍家が、うなる。


 何やら釈然(しゃくぜん)としない様子であった。


「どうしても、夜叉姫と竜丸を夫婦にせねばならぬのだな?」


「左様でございます。それが天下を獲るためには必須」


 おかしな物言いであった。


 鳳武尊の異界の軍勢は将軍家と三つの鐘、すなわち三人の「門鐘の巫女」が居れば呼び出せるはず。


 しかし、狂虎は何故か夜叉姫と竜丸の婚儀が絶対必要と将軍家に、のたまう。


 その真意たるや?


「すぐさま婚礼の儀を執り行いましょうぞ」


 狂虎の言葉に将軍家は驚く。


「今から? 今すぐにか?」

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