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武龍伝  作者: もんじろう
152/204

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「その娘をこちらに渡せば、お前に力をやろう」


 狂虎が言った。


「お前が約束を違えれば、必ず殺す」


 静香が言った。


「わしを殺す? ふふふ、そんなことは出来ぬ。少なくとも、お前にはな」と狂虎。


 静香が奇妙斎へと向き、相対した。


 静香の剣気が奇妙斎に絡みつく。


「やめてください、静香様!」


 桜の叫び。


「本気か、きれいな娘さん?」


 奇妙斎が訊いた。


「ああ、本気だ」と静香。


「何と、まあ」


 奇妙斎が呆れる。


「とんでもない(ごう)を背負い込んだもんじゃのう。そんなに望みを叶えたいか?」


「ああ」


「狂うておるな」


「ああ、私は狂っている」


 静香が、にやーっと笑った。


 髪の毛が逆立ち、双眸が青い強烈な光を放つ。


「今まで気づかなかったのか?」


「まったく」


 奇妙斎が肩をすくめた。


「面倒じゃのう」


 静香が動いた。


 長刀を抜き放ち、奇妙斎に真っ向から斬りつける。


 が。


 その刃は奇妙斎のなまくら刀によって、しっかりと受け止められた。


「な!?」


 静香は驚愕した。


 あり得ない。


 本来であれば、なまくら刀は折れ、すでに奇妙斎の首は、はねられているはず。


 剣気では静香が圧倒しているというのに、奇妙斎は何やら飄々として、どこ吹く風である。


「しんどいのう」


 奇妙斎が愚痴をこぼす。


「二十年前ならのう」

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