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「俺流、バツ斬り!!」
奇襲に、はっとなった蛇美羅だったが、慌てて隼人の攻撃を受け止めた。
前回の蛇美羅より、さらに速く力強い。
楽々と隼人の刀を弾き返した。
隼人の二刀が翻る。
「俺流、バツ斬・裏!!」
振り下ろされる必殺の一撃。
しかし。
蛇美羅は襲い来る斬撃を振り上げた一刀のみで、軽々と防ぎきった。
蛇美羅が、にやーっと笑った。
「刀小僧、敗れたり!!」
押し返される二刀に、隼人の両腕がぶるぶると震える。
蛇美羅の恐るべき膂力であった。
このままでは、次の瞬間には隼人は斬り殺される。
このとき。
春馬が斬り結ぶ二人を回り込み、蛇美羅の背後、やや離れた位置へと立った。
「えいっ!!」
春馬が左手の中に握っていた、もうひとつの「シェル」を蛇美羅の背中に投げつける。
隼人と相対している蛇美羅は身をかわせず、「シェル」をまともに背に受けた。
破裂した「シェル」から吹き出したのは、すさまじき冷気。
もちろん、隼人には悪影響を与えぬ強さに調整されている。
この冷気こそは以前、蜜柑と春馬が洞窟内で見つけた大氷柱より抽出したものであった。
冷気は瞬時に蛇美羅の全身を冷やした。
「さ、寒いっ!!」
蛇美羅が怯む。
「隼人、今だ!!」
春馬が叫ぶ。
隼人が頷く。