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「僕が隼人と組んで、あなた方と戦う。もちろん僕は刀がまるで駄目なので、何を使っても良いという形で、お願いします」
しばし、静寂が流れた。
「ははは!」
「あはは!」
二人の魔人の大笑いが沈黙を破った。
「何を言いだすかと思えば」
白帯が言った。
「お前が加勢するだと?」
「お前みたいな生っちょろい奴に何が出来るって言うのさ!」
蛇美羅が言った。
「春馬?」
隼人も首を傾げる。
春馬の意図が分からなかった。
「春馬!」
蜜柑が春馬の奥襟を引っ張って、退がらせようとする。
春馬は動かない。
蜜柑は降霊しようと試みるが、何も現れなかった。
「春馬、やめて!」
春馬が首だけ振り返る。
「大丈夫だよ、蜜柑さん。僕を信じて」
春馬は片眼をぱちりと閉じて見せた。
蜜柑は渋々、黙った。
しかし、その顔は青ざめている。
「どうですか、お二方は?」
春馬の言葉に蛇美羅は首を横に振った。
「お前が入ろうが入らなかろうが、あたしたちは刀小僧を斬る。早く死にたいなら、好きにすればいい。刀小僧を斬った後はどうせ、お前たちの番だからね」
「よし! じゃあ、始めましょう!」
春馬が両手を打った。
水を差されていた二人の魔人が再び、剣気を放つ。
白帯は八相に、蛇美羅は中段に構えた。
対する隼人は、いつもの構え。
蛇美羅の前である。