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その両手は、すでに二本の刀の柄を握っている。
(こいつ…妙な気配だ)
隼人は思った。
(人じゃないみたいな…初めてだ、こんな奴)
「私は蜜柑と話がしたい」
武龍が言った。
そのまま、歩を進めてくる。
「!!」
隼人が構える。
「待って、隼人!」
蜜柑が止めた。
自ら隼人の前に出る。
「蜜柑さん!!」
春馬が、うろたえる。
「大丈夫、この人は悪い人じゃない」
蜜柑が二人に言った。
「そんな気がする」
隼人が刀から手を離す。
しかし、いつでも抜刀できる体勢は維持した。
春馬は心配そうに蜜柑を見守っている。
とりあえずは蜜柑の直感を信じ、二人は武龍の接近を許した。
武龍が蜜柑の前へと立つ。
蜜柑は仮面の下の瞳を見つめた。
「え!?」
蜜柑が思わず驚く。
少年二人が何事かと、ぴくりとなる。
何故かは分からない。
分からないが、蜜柑は武龍の眼をどこかで見た気がした。
あるいは、よく似た眼を見たのか?