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味方の死に、ようやく驚愕の呪縛が解けた飛刃が「殺せ!!」と叫ぶ。
蛍火と相対していた二人の忍びが切っ先を変え、蜜柑に襲いかかった。
藤十郎の刀が疾る。
あっという間に二人の忍びが首筋から血を噴き出し、倒れた。
「おのれ、小娘っ!!」
飛刃が腰の投げ刃に手を伸ばしかけた、そのとき。
屋敷の方から大勢の人が、こちらへやって来るのが見えた。
ようやく、城兵たちが庭で起こっている異常に気づいて、駆けつけたのだ。
「飛刃、退くぞ! 竜丸が居れば、それで良い!」
空怪が身を翻し、未だ揺らめいている空間へと飛び込んだ。
その姿は現れたときと同じく、瞬時にかき消えた。
「ちっ」
舌打ちした飛刃が、空怪の後に続く。
「竜丸!!」
蜜柑が叫んだ。
そして。
藤十郎と重なり合っている蜜柑が飛刃の後を追って、歪む空間にその身を投じた。
「姫様っ!!」
片ひざを着いた蛍火も後を追おうとするが、腹の傷のために立つことすら出来ない。