表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武龍伝  作者: もんじろう
123/204

123

「この傷を見よ」


 静香の右手が、自らの首の傷を指す。


「私はすでに一度、死んだのだ。もはや、人ではない。ただ、斬って斬って斬りまくるためだけに生き返った。そんな私が恐ろしくはないのか?」


 静香の瞳が青く輝く。


 光は、さらに強まる。


 すさまじい殺気と、人ならざる者の妖気にも桜は怯まなかった。


「恐れているのは静香様ではありませんか?」


 何ということか。


 今すぐにも、自分を斬り捨ててもおかしくはない殺気を放つ魔人、静香に対して、純朴さのみを研ぎ澄まし生きてきた、戦う術も知らぬ若い娘が真っ向から挑みかかったのだ。


 静香の魔気、殺気、剣気が(ふく)れ上がり、渦を巻き、混じり合う。


 怒りで静香の髪の毛が広がり、逆立つ。


 双眸が爛々と青い炎を灯す。


「男が汚らわしいと仰られていましたね」


 桜は退かない。


「昔、静香様に何かあったのでしょう?」


 この言葉で静香の脳裏に、母と抱き合う男の背中が甦った。


 それは父の姿ではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ