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武龍伝  作者: もんじろう
121/204

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 桜は、ふと思った。


 ここに至るまで何度も命を落としかねない危機に遭遇した。


 だが、静香と奇妙斎のおかげで鬼道城まで、あと少しというところに来ている。


 捕らわれた二人の「門鍾の巫女」を助けなければならない。


(それにしても)


 桜は考える。


 将軍家は本当に三つの鐘の力で異界の軍を呼び、その力で天下を獲り戻そうと企んでいるのだろうか?


 鐘は本来、この世が危機に直面したときにこそ使われるべきもの。


 個人の権勢のために使われてはならない。


 それは鳳武尊の、日の本の平和を願う心とも、かけ離れている。


 何としても阻止しなければ。


 視線を落とし、水面を見ていた桜は、すぐそばに人の気配を感じた。


「もう!! 奇妙斎様!!」


 桜が大事な部分を隠しながら怒る。


 しかし。


 桜の前に立っていたのは奇妙斎ではなく、静香だった。


「静香様!?」


 桜が驚く。


 静香は漆黒の瞳で桜を見つめている。


 見つめ合う二人は無言になった。


 桜は美しい静香の双眸に映る、その果てしない渇望に気づいた。


 そして。


(静香様は苦しんでおられる)


 そう確信した。


 静香は無言で右手を桜の腰へと回した。


 左手で桜の右肩に触れる。


 桜は、はっとなった。


 顔はおろか、その裸身すべてが、ほんのりと赤らむ。


 静香の顔が、桜のそれに近づいてくる。

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