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武龍伝  作者: もんじろう
115/204

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 妙な感触。


 胸を触られているような…?


 否。


 それは現実。


 桜を抱き抱えた奇妙斎の右手が、胸を触っていた。


 奇妙斎は涼しい顔で口笛を吹いている。


「きゃーーーっ!!」


 桜の右手の豪快なびんたがうなりを上げ、奇妙斎の左頬を打った。


「いったーーっ!!」


 奇妙斎の首が回る。


「わっ。ごめんなさい」


 謝らなくてもいいのに、桜が謝る。


 奇妙斎の首が、ぐるりと元の位置に戻った。


 両の鼻の穴から流れる血は、桜のびんたによるものか、はたまた胸を触った興奮によるものか?


「いや、わしはこういうのは、けっこう好きなんじゃ」


 二人は森の木々の中へと駆け込んだ。


 後ろから追う五人の忍びの巨大手裏剣は太い木々の幹さえ、ものともせず切り倒しながら進んでくる。


 ついに二人の真後ろまで迫った。


「奇妙斎様! 危ない!」


 桜が叫ぶ。


 手裏剣が突っ込んだ。


 まるで背中に眼があるかの如く、奇妙斎はぎりぎりのところで、ぽーんと跳び上がり、そのまま手裏剣の上に乗った。


 これには五人の忍びが、度肝を抜かれる。


「うん?」


 奇妙斎が忍びたちの顔を眺めて言った。


「皆、同じ顔をしておるな」


「殺せ!!」


 我に返った一影が叫び、五人が一斉に抜刀する。


 斬りかかる五つの刃を軽妙な動きでかわした奇妙斎は、手裏剣の進行方向とは逆に走り、下へと飛び降りた。

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