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武龍伝  作者: もんじろう
114/204

114

 その身体から、すさまじい殺気が噴出し、自らへと絡みつくのを静香は瞬時に察した。


(こやつ、できる)


 静香の剣気も拳法の殺気に呼応し、むくむくと本性を現す。


 二人の間で、お互いの闘気がぐるぐると絡み合い、渦を巻いた。


「剣呑、剣呑」


 奇妙斎が首をすくめる。


 そのとき、突然、拳法の背後の森から何かが飛び出した。


 それは恐ろしく巨大な手裏剣であった。


 中央部分と刃の部分が独立して、外側だけが回る仕組みとなっている。


 手裏剣は拳法の右側へと曲線を描き飛び、そこから大回りで桜と奇妙斎に向かっていく。


 手裏剣の上、中心部分に乗る五つの影。


 鳳衆の忍び、一影、二影、三影、四影(しかげ)五影(ごかげ)の五人である。


「奇妙斎!!」


 静香が拳法をにらんだまま、大声で言った。


「桜を守れ!!」


「何じゃ、年寄り使いが荒いのう」


 奇妙斎が、ぼやく。


 が、すぐに桜を「よっと!」と軽々と胸の前に持ち上げた。


 枯れ枝のように細い身体とは思えぬ力強さであった。


 そして、次に意外な健脚ぶりを見せ、脱兎(だっと)の如く背後の森へと走りだした。


「逃がすな!!」


 一影たちが口々に叫び、巨大な手裏剣が奇妙斎の後を追っていく。


「静香様!!」


 遠ざかっていく静香の背中へと桜が叫ぶ。


 不安げな面持ち。


「あれ?」


 桜は首を傾げた。

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