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「ぐっ…」
蛍火が、うめいた。
その右腹に、くの字の刃が突き刺さっている。
飛刃の刃は三枚あった。
二刀を投げたと見せて、その実、右側の刃は二枚を重ねてあったのだ。
隠された一枚は、もう一枚よりも大きく外側を回り、一度、蛍火と蜜柑、竜丸、侍女たちの背後を飛んだ後、向きを変えて戻り、最後には蛍火の腹へと命中したのである。
みるみるうちに蛍火の着物の腹部は血に濡れた。
顔が青ざめ、片ひざを地に着く。
それでもまだ懐刀を構え、戦う気力を失わず敵をにらみつけたのは、さすが忍びの胆力と言えた。
ここぞとばかり、三人の忍びたちが刀を振って、蛍火に襲いかかる。
深傷を負いつつも蛍火が、二人の忍びの攻撃を受けきり必死に防戦する隙に、残った一人が背後へと回り込み、とうとう竜丸の左手を掴み、自らの方へと引き寄せた。
「竜丸!!」
これには蜜柑が血相を変え、果敢にも愛弟を救おうと忍びの腕へと飛びついたが、そこは小娘の非力さ、あっさりと蹴り飛ばされ、地に転倒してしまう。
いつの間にか忍びの側まで来ていた空怪が、今さらながら刀を抜いた竜丸の手から得物を叩き落とした。
脇差しも奪い、左手で竜丸を小脇に抱える。
「姉様! 姉様!」
竜丸が必死に助けを求めた。
「姉様、助けて!!」




