ハンバーガーをくわえた女
ハンバーガーをくわえた女
Part1
或る日、ショックを受けやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔の醜さに唖然として顎を外さんばかりに口をぽかんと開けた。
すると、ハンバーガーはお馬鹿さん!さようなら!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながら一通りでなく後悔し残念がった。
Part2
或る日、自惚れやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔に惚れ惚れして顎を外さんばかりに感嘆の声を上げた。
「まあ!」
すると、ハンバーガーは表六玉!お達者で!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながら地団太ふんで後悔し残念がった。
Part3
或る日、笑いやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔に滑稽さを感じて顎を外さんばかりに大笑いした。
すると、ハンバーガーはすっとこどっこい!お暇するよ!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながらワンワン泣いて後悔し残念がった。
Part4
或る日、怨みやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔に嫌味なものを感じ、顎を外さんばかりに怒鳴った。
「何、変な顔して真似してんだ!ボケ!」
すると、ハンバーガーはたわけ!さらばじゃ!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながら涎をだらだら垂らして後悔し残念がった。
Part5
或る日、妬みやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔に劣等感と憎悪感を抱き、顎を外さんばかりにがなった。
「何、気取って真似してんだ!ボケ!」
すると、ハンバーガーはおたんこなす!ばいなら!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながらバカバカバカと頭を小突いて後悔し残念がった。
Part6
或る日、羨ましがりやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔がくわえているハンバーガーの方に興味をそそられ、顎を外さんばかりに溜息をついて呟いた。
「あーあ、いいなあ」
すると、ハンバーガーはパッパラパー!バイバイ!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながら、あれまあと茫然として後悔し残念がった。
Part7
或る日、欲をかきやすい女がハンバーガーをくわえて歩いていた。
橋を渡る時、川が見たくなって欄干に寄り掛かり川面を眺めると、川面に映った自分の顔がくわえているハンバーガーに欲望を感じ、顎を外さんばかりに呼び掛けた。
「おーい!お前も私の口元においで!」
すると、ハンバーガーはドアホ!ほな、さいなら!と言っているかのように川へ落ちて行った。
女は川の中でハンバーガーがばらばらになり消えて行くのを眺めながら頭を掻きむしって後悔し残念がった後、ハンバーガーを取り戻そうと、欄干を乗り越え、川へ飛び込んで行った。愚かにも欲をかく余り、自分が泳げないことも忘れて・・・
哀れ、女はお魚さん!ハンバーグより私の方が肉付きが良くて美味しいわよ!と言わんばかりに溺れて死んでしまった。
それを見ていた人々が身投げだと勘違いした事は女にとってせめてもの幸いだった。




