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リスとライオンの攻防戦  作者: 灰鼠
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2.ライオンの宝物

「私と、仕事どっちが大切なの?仕事?だったら」

「立花さんはいつ私をすきになってくれるの?待ってるのは疲れたよ。だから」

「顔は無駄によすぎて女性でも嫉妬しちゃうのよね。絶対にあなたとは結婚したくない。だから」



----別れて欲しい。


付き合ってきた歴代の彼女達からは、いつも聞いてきた言葉。

ほかにもいろいろ人生で経験はしてきたつもりだ。

生まれてこのかた彼女を切らした事はなかった。サラリーマンをしていた時までは。

言い寄られたり、女性から告白を受け、断ろうとしても「今は好きじゃなくてもいいから!」という必死の提案をいつも立花が渋々承諾して付き合うというのが常だった。

それなりに付き合っていたときはいろいろ立花からも優しくしたり、休みの日には一緒にでかけたり。恋人らしいことはやってきた。

お互いの誕生日や、記念日もこまめにしてきたつもりだ。


しかし、そして彼女達から別れをつきつけられる。


5年前、立花は父方の祖母が病をわずらい営んでいた花屋を閉じようかと話があり、立花は祖母の代わりに自分がその花屋を継ぐと宣言した。

花屋をやると決めその翌日には務めている会社に、辞表をもっていくという暴挙に立花本人も以外と自分の行動に驚いていた。

辞表をもっていった上司からは止められたが立花の決意は揺るがなかった。

当時付き合っていた同僚の彼女からは花屋を継ぐということを話したら別れを持ち出され、そのまま別れた。



会社をやめた立花は祖母から花屋の知識や技術を学びどんどん吸収していった。

それから1年後に祖母は他界した。


それから4年、立花律は30歳になり花屋は立花にとってなににも代え難い宝物になっていた。

そして、立夏との出会いで立花の時間もうごきだすことも知る由もなかった。


かたまったまま立夏を見下げている立花は、あわてて訪れたリスに声をかけた。

「あ、すいません。お部屋に飾る用ですね。どんな場所に飾るのを想定してらっしゃいますか?」

「あ、そうか。会社の玄関あたりでもと思っていて」

「そうなんですね。花瓶はどのくらいのものをご用意しておりますか?」

「えっと、手に持てるガラスコップみたいな形の花瓶がありますのでそれに入れてようかなって思ってます。予算は3千円ぐらいなんですがいけますか。」


立夏は手の平でだいたいスープボウルぐらいのサイズを立花にみせた。


「はい、大丈夫ですよ。そのぐらいの高さだとボリュームをもたせたほうがいいかも知れませんね。こちらの黄色のガーベラを組み合わせた花束などいかがですか。」


立花は、銀色のバケツに入ってる黄色系統でまとまっているガーベラをすすめた。

「あ!いいですね。じゃあこれでお願いします。」

「ありがとうございます。お包みいたしますので、ベンチにお座りになっておまちください。できがりましたらお持ちします。」

立花に促されながら、立夏はベンチにすわり踵をかえした立花の背中を目でおった。


立夏は変態なぐらい人を観察してしまう癖がやはりここでも発揮し、そのまま作業にはいる立花を観察することにした。


人に見られなれている立花は立夏の目線は気にせずに、リクエストしたガーベラを主体に他の花と組み合わせアレンジし、きれいにラッピングを施していった。

元気なガーベラを数本選びまずは剪定し、花瓶に差し替えるとの事だったので英字新聞でオシャレに包みサテン地の白のリボンで可愛くまとめた。



その真剣な眼差しに立夏はなんともいえない幸福感をいだいていた。

(これよ!これ!真剣な人の目ってどうしてあんなに素敵なのんだろう)

蕩けた眼差しを立花にそそいでいる立夏の風貌はまるでどこぞの変態、変質者そのものだった。

はぁはぁと息は荒げ、頬まで紅潮している。警察につきだされてもおかしくないぐらいの変態っぷり。この変態な態度も本人は自覚済みだ。

そこはいいとしてももともとそんなに恋愛に興味がないし極度の男性恐怖症。

そためか悲しいことに30年間の人生でこのかた彼氏とつきあったことが1度しかない。それは立夏が26歳の時だった。

その時の彼氏は立夏の体質をしった上、しかも今好きじゃなくてもいいからつきあって欲しいと告白されお試しでつきあったことがある。

立夏もそこまでひどくないだろうと思い付き合う事になったのだが、手さえもつなげなかった。


そもそもパーソナルスペースが広すぎた。どのくらいというと立夏の場合80cm以上離れていないと心が落ち着かないのだ。

普段からも満員電車は絶対的に無理だし、エレベータの個室もあんなせまいところで男性と一緒だと息苦しくやむ終えない場合は、下を向き身体は緊張しその場をしのいだ。

いちどパニックになり過呼吸を引き起こしたときは死ぬかとおもったぐらいだ。


ひどい男性恐怖症を克服しようと努力をしようときめた時にできた26歳にして人生初の彼氏。彼はホントに気の毒だった。

いつまでも同じ態度をとる立夏にかわらない態度をとる優しい彼。そんな彼の気持ちに対して立夏はいたたまれない気持ちになり、立夏から別れを切り出したが彼は必死にもっと頑張るといっていたがそのまま話し合いがつづきたが納得してくれたのか立夏と別れてくれた。ほんとに立夏には勿体無いぐらいのできた優しい彼氏だった。


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