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ハイランド・ハイジア  作者: 射月アキラ
第2章
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 それはきっと、ヴィオレの帰る場所を最下層にしてしまったことへの後ろめたさがあるからなのだろう。親の代わりに知識を教えたレゾンは、ヴィオレに対して他の人間とは違う認識をしているようにも見える。

 人工知能として、それがいい傾向なのか悪い傾向なのか、ヴィオレには判断がつかない。

「レゾンは、私が怪我してると困る?」

「当然だろう」

「ハイジアだから?」

「──」

 弱い風のようなノイズが、スピーカーからこぼれてくる。

「私は全ての人間が健やかであることを願っている」

「……そう」

「あぁ、いや、ヴィオレをどうとも思ってないわけではない。ヴィオレは、」

「分かってるよ」

「ヴィオレは私にとって、もっとも繋がりの濃い人間だからな」

「ハイジアじゃなくて?」

「私からすればハイジアも人間だ。先天的にはヴィオレだって人間だろう」

 意地を張るように主張するレゾンに、ヴィオレは苦笑した。

 長い間起動し続けている割に、どこか幼い印象がレゾンにはまとわりつく。おそらく、あえて人間との関わりを浅く持ち続けてきた影響で、表面だけの空気を読み合うような関係を保っていたせいだろう。

 ヒトはレゾンの本質を読もうとはしないし、レゾンもヒトの本質を知ろうとはしない。

 互いに必要なときだけ利用し合う関係が続いていれば、それ以外の部分で成長が滞るなんてこともありえる話だった。

 顔に流れてきた髪を耳にかけ、ヴィオレはふと気になったことを聞いてみた。

「後悔してる?」

「なに?」

「私に関わったこと。ヒトはヒトとして、平等に扱うのがレゾンの意義でしょ?」

 答えが返ってくるまでには、少し間があった。

 レゾン自身すら、もしかすると意識していなかったのかもしれない。自らの行動を思い返して、今の時点から評価するという行動を、人工知能は行うのだろうか。

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