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 対策本部。

 全ての捜査員が席に座り、トクハンと小鳥、信義僧侶が説明を始めた。

 「今回の目的は、無論、ニンギョウの完全な破壊です。ですが、ニンギョウを構成する要素、その原動力に関して言えば、人間には理解不能な力が働いているのです。

  これは、言いえて妙ですが、我々トクハンの専門であって、専門外の事案なのです。

  そこで問題になるのが、その力―具体的には“怨念”と称される動力を、いかにして止めるのか。日本警察が妖怪犯罪を認知し、トクハンを設立して10年以上。このような事例は前代未聞でした。そこで陰陽師、姉ヶ崎小鳥氏に協力を仰ぎ、この作戦に参加してもらうこととしました。

  彼女は大津港において破壊活動を行ったニンギョウを止めた、その本人です。では」

 隼の前説の後、マイクを手に小鳥が立ち上がった。

 一瞬、その少女の姿にどよめく捜査員たち。

 「姉ヶ崎小鳥です。どよめいている皆さんにお願いがあります。もう、時間がありません。私を信じてなんて虫が良すぎるかもしれません。それでも・・・前置きが長くなりましたね。

  今回の作戦は動力とボディの同時破壊を行います。

  こちらにいる富田信義僧侶の協力で、京都中から高僧を招集してもらいました。

  作戦はこうです。高僧を宗派ごとに3つに分け、ニンギョウを包み込む形で除霊を開始します。相手が弱まった時点で、高僧を退避させ、液体窒素を噴射。体内の化学兵器を撤去後、ボディを物理的攻撃で破砕します。

  とても危険な作戦ですが、皆さんには各種準備と誘導をお願いします」

 「誘導?」と捜査員の1人

 「はい。

  現在、ニンギョウは紫電によって動きを封じられている状態です。ですが、術そのものは限界が近いことは確かです。そこで新たな陣を敷き、そこに相手を移動させて再び封じる必要があります。そのための準備は、既に完了しています」

 「俺たちに、生贄になれと?」

 「そうではありません」

 1人の反論が、大きなヤジとなって、華奢な巫女を責めたてる。

 「そうにしか、聞こえないぞ!」

 「あいつのせいで、一体何人の人間が死んだんだと思っているんだ!」

 萎縮する義妹を見て、すかさず、あやめが立ち上がった。

 「これ以上、誰も殺させはしません!トクハンも、全力でサポートします」

 「でも、この作戦を立てたのは、警察官じゃない。その上、ちんちくりんな女の子ときた」

 初老の捜査官が口を開く。捜査課長クラスの人物だそう。

 「いけませんか?」

 「所詮は、世の中を知らない、甘っちょろい子供の浅知恵じゃないですか。

  そんな作戦に、俺たちの命を預けろなんて―――」

 「では、あの怪物を倒す、有効な手立てはありますか?」

 あやめの一言で、反論する捜査官は口を濁した。

 「それは・・・」

 「見ましたか?穴の開いたマンションを、大破した大津港を?

  我々より強力な火力を持つ教団でさえ、その対処に匙を投げた。故に、状況が発生し、現在も進行中なんです。

  今回の対象は、あなたたちが毎日ワッパをかけている人間とも、私たちが追いかける妖怪とも違う、全く別次元の存在なんです。

  認めたくないでしょうが、私たちには藁を掴む、その選択肢以外ないのですよ。この作戦に、異議申し立てのある人は、その代替案を提示してもらいましょうか?」

 捜査員たちが黙りこくった時、隼が静かに立ち上がった。

 「間違いが起きてはいけませんから、ここで断言しましょう。これは、1人の巫女の提案ではありません。トクハンとしての提案です。責任は我々が持ちます!」


 結局、隼の一言で作戦は通常道理、進行する結果となった。

 部屋を去った捜査員たち。

 がら空きの本部で、碇警部が隼に話しかける。

 「すみません。私たちの仲間が」

 「分かりますよ。アマチュアの意見に、プロが容易に首を振るハズがありませんからね。

  ですが、先ほど私の部下が言った通り、この事件はただの刑事事件ではありません。今回は、こ我々もアマチュアと言わざるを得ない」

 「難儀な話ですね」

 すると隼は言う。

 「碇警部には、感謝しています。長浜港での遺体打ち上げ事件で、私たちに一報を入れてくれた件です。

  あれがなければ、トクハンの介入は遅れていました。少なくとも、彦根城の事件までは・・・」

 「隼警部も、いい部下に恵まれていて、うらやましいですよ」

 微笑する2人

 「1つ、質問をいいですか?」

 「はい?」

 「あの巫女さんと、貴方の部下。姉妹なのですか?」

 碇の言葉に、隼は言った。

 「ええ。自他ともに認める、最強の姉妹ですよ」

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