Let ´sプリン作り!!
*******
只今、厨(今で言うキッチンかな?)にて、松枝さんお手製の白いたすきを使って、袖が邪魔ならないようにたくしあげます。そんでもって髪の毛も邪魔だから、ついでに高い位置に結んでポニーテール。久しぶりにポニテなんかしちゃいました。現代にいたときもたまにやっていたんですけど、ほとんど下ろしたままだったから、久しぶりのポニテで頭皮が引っ張られるぅ〜。目がつり目になる〜。ポニテを一回でもやったことのある人は、身に覚えがありますよね?ほどいた後って、地味に頭が痛いんだよね。
気を取り直して。
さっそくLet ´sプリン作りです。
目の前に並んだ材料は、全部吉平さまが朝ごはんを食べたあとに集めてきてくれました!集めてきてくれた材料を見た瞬間、「作れるぞーー!!」って心の中で盛大にガッツポーズしちゃいましたよ。いや、ほんと、感謝感激感涙感無量の嵐です。………ちょっとと言うか、かなり舞い上がちゃってます。えへ。
あ、ちなみに、吉平さまは自室で、読書をしていました。その横顔が絵になる。絵になる。鼻血ものですよ、あれ。
脱線した電車を戻して、と。この時代にはガスコンロやHIヒーターなんて便利なものは当たり前だけどないので、釜戸と炉を使ってプリンを作りたいと思います。なので、私流のなんちゃってプリン簡略ver.。なんちゃってでも、味は本格的。自他ともに認めるプリン好きの私の舌を唸らせるほどの威力を持っているのです。
そんでもって、作り方は至ってシンプル。プリンの材料を全部混ぜるだけ。
ポイントとしては、器に流し入れる前に最低3回はざるでこすことぐらいかな?
あとは、土鍋で沸かしてたお湯で15分前後湯煎にかけて冷やして完成。意外にどこでもプリンは作るのが楽だと思いきや、甘葛でカラメルを作るのが難しかった………。
湯煎にかけていたプリンを、濡れぶきんを使って湯煎から外します。
まだ、湯煎から外したばかりで器が熱々。冷たい井戸水を張った小さな盥の中であら熱を取ります。よく考えたな、私。本当は、冷蔵庫で冷やすんだけど、この時代にはないですからね。あったら、歴史が変わっちゃいますけど。
「出来たのかい?」
ピョコンと吉平さまが横から顔を出してきました。って、えええーーー!!
「にょぁっ!!!!」
「……にょぁ………?」
あぁ。また、変な叫び声出しちゃったよ………。乙女としてのイゲンがぁ〜。
てか、吉平さま。
気配消して人の背後に立たないでください!心臓に悪いんですからね!
「し、心臓が口から飛び出るかと思った………」
「それは、カエルだよ」
至極真面目に、間違いを訂正する吉平さま。
………いや、ね?例え話ですよ。例え話。本当に口から心臓飛び出たら、私死んじゃってますから。あ、でも、カエルが口から出すのって、胃袋じゃないっけ?
「それで、白雪桜。ぷりんは出来たのかな?」
「あ、はい!たった今、出来ました。あとは、完全に冷たくなるまでこのまま冷やすだけです」
「見ても?」
「もちろんです!」
吉平さまは盥の中を覗きこみ、感嘆の声をあげました。
「へぇ、婦凛によく似てるね」
「婦凛?」
「この時代にある菓子の一つだよ。私は食べたことがないけど、なんでもとても美味しいと聞いたことがある」
「………この時代にも既にプリンあったとは………」
プリンの歴史侮るべからず。
「ところで、このぷりんはもう食べれるのかな?」
「うーん………もう少しちゃんと冷やした方がしっかり固まるので、食べれるのは夕飯のときですかね」
「それじゃ、このあとの予定とかは?」
「ないですよ。強いて言うな、直衣を仕立ることが用事なくらいです」
「じゃぁ、一旦直衣のことは置いといて。もう少し日が落ちたら、一緒に市に行ってみないかい?昨日から一歩も邸の外には出たことがないだろ。夕刻の市は、いろいろとまけてくれるから、とても楽しめると思うよ」
「市ですか?私、行くの初めてです!」
「せっかくこの時代に来たんだから、未来では体験できないことをたくさん体験してくといい」
「はい!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
↓作者からお知らせ
ここまで読んでくださった読者の皆さま。感謝感激です。
そのまま評価ボタンをポチっとorお気に入り登録をしていただけると、すごく嬉しいです。
また、活動報告にこの物語の補足がありますので、より物語を楽しむためにも一読をおすすめいたします。