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えっ!!トリップ先は平安時代!?ウソですよね?  作者: 九条 夏夜乃
2日目
7/11

2度目の………


*******






 ハッとして、目が覚めました。






 なんだか、ひどく悲しい夢を見た気もしないでもないような、こう胸の中がモヤモヤッとするような、とにかく変な感じがします。


 小さくため息をつきながら、寝返りを打ちます。


 振り向きますと、それはもうごく至近距離に気持ちよさそうに寝息を立てている超美形なお方がいらっしゃいました。


 はて?


 こんなカッコいい人、家族にいましたっけ?と言うか、まだ16と言う歳で、私の脳は家族の顔も忘れてしまうほど、老化が進んでいるのでしょうか?


 って、いやいやいやっ!


 絶対違う!うん、違う!!私まだ、そこまで老けてないもん。


 だから、これはきっと夢なんだ。起きたと思ったことは全部夢の中でのことで、現実の私はまだ夢の中にいるんだ。だから、目の前でスヤスヤ寝息を立ててるこの人だって、触れないはず。


 手を伸ばして確認してみます。


 ぺたぺた触れちゃいます。むぎゅって、つまめちゃいます。あれれ………れ?


 ーーーーー現実………なの?コレ?昨日のことは夢じゃなかったってことは、この人…………


「どぴゃぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」


 とっさに、几帳の端まで後退ります。


 ハイ!2度目ですね!こんな心臓に悪い起床は!!もはや、早鐘とか言うレベルじゃないくらいに心臓バックバックしてますよ!


 そう言えば、なんで一緒に寝てたんでしたっけ?………思い出した!!昨日、吉平さまを待っていたら、気が緩んでそのまま眠っちゃったんですね!起こしてくださいって、吉平さま。


 すると、吉平さまも目が覚めたらしく、ゆっくりと身体を起こしました。几帳の端にいる私を見て、なにかを納得したように小さく苦笑しながら「ああ」とつぶやきます。


「おはよう、白雪桜」


「お、おは、おはようございます。吉平さま」


「そんなに怯えなくても大丈夫だよ。なにもしてないから」


「!?」


「あえてしたのなら、可愛い寝顔を思う存分堪能したことぐらいかな?」


「!?!?」


 ………終わった………


 私の乙女としてのなにかが、今この瞬間に崩れ落ちた。



*******


 起き抜けのちょっとした騒動(?)から、半刻が過ぎました。今は吉平さまの自室にて朝ごはんをいただいている真っ最中です。なぜか、一緒にいただいてます。一介の女房が、邸の主と食べていいのかって思うんですけど、主の命令なので、逆らえません。


 でも、頭の中がいろんな感情でぐちゃぐちゃ過ぎて(主に恥ずかしくて)、朝ごはんの味なんて全然わかりません。お腹はすいてるから食べますけど。


 ちらっと、吉平さまを窺ってみると、吉平さまなんにもなかったように至極平然として、優雅に召し上がっています。


 私が意識しすぎなのかな?自意識過剰ってヤツ?でもでもでも!一晩中男の人に、なまじ女の人より端麗な吉平さまに寝顔見られてたなんて恥ずかしすぎる!!ヨダレとかたらしてなかったよね!?口とか、開きっぱなしじゃないよね!?どうだったのよ!昨日の寝てる私!いや、直接吉平さまに聞けば手っ取り早いんだろうけど、怖くて聞けない!!もし、本当にヨダレたらしてたりなんかしてたらって思うと、私もうお嫁に行けない。もらってくれる人がいるのかも謎なのだけど。


 はぁ。考えるの疲れました。疲れたと言うなの、現実逃避なのですが。それはまぁさておき、今ものっすごく甘いものが食べたいです。朝だけど食べたいてす。甘いもので癒されたいです。絶対にこの時代にあるわけなんてないけど、吉平さまに言うだけ言ってみます。


「吉平さま」


「なんだい?白雪桜」


「プリンが食べたいです。クッキーとかケーキとか。とにかく甘いものが食べたいです。」


「………ぷりん?」


 案の定、吉平さまはキョトンとして首を傾げました。やっぱりないんですね。わかってたことだけど、なんか大好きなものなだけに、ショックがあります。


「んーと、プリンって言うのはですね。卵と砂糖と牛乳ーーーこの時代だと牛のお乳って言ったらわかりますか?それを全部混ぜて、寒天で固めるか、蒸し器で蒸して食べるイギリス発祥のお菓子で、私の大好きなものなんです!」


 テンション上がってきました。今すぐとろけるプリン作りたいです。


 食べた瞬間、とろんと溶けてしまう口当たりや、ほろ苦いカラメルは、一回食べたらやみつきになります。プリンは魔性の食べ物なんです。


「好物というなら用意してあげたいけど、それは、白雪桜が作れるものなのかな?」


「もちろんです。お菓子作りは得意で、家では毎日のように作ってたんですよ?腕に自信はあります」


「それなら、そのぷりんの材料を集めてこよう。確か、父上のとこに牛の乳があったはずだから。甘味は、甘葛あまづらで代用するればなんとかなるんじゃないかな」


「いいんですか!!」


 言ってはみるものですね。 まさかのこの時代でプリンが食べれる(かも)と言う事実!嬉しすぎて、フラダンス踊っちゃうよ。


「出来上がったら、一番先に吉平さまが食べてくださいね!絶対おいしく作りますから!」


 さぁ、Let´sプリン作りです!!


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