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夢の話
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小さな時から繰り返し見る夢がありました。
大きな湖畔の向こう岸に、見たこともない衣装を着た男の人がこれまた見たこともない衣装を着た女の人を抱きかえて、何かを泣きながら叫んでいるのです。
顔をもっとよく見ようとしても、カメラのピントが合ってないみたいにボヤけてて……っていうのは、きっと私が泣いているから。なぜか私、ボロボロボロ、バカみたいに泣いているんです。終始ずっと。初めから終わりまで。
そして、意識が浮上するほんの一瞬だけ、憎悪の感情と一緒に男の途切れ途切れの言葉が私の脳内に流れ込んでくる。
ーーー………………い……
ーーーたとえ……どんな犠牲を………
ーーーもう一度………を………っ
ーーー取り戻して見せる。




