剣舞
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序章
仮面の忍者(赤霧)が、二人の幼子を連れ海を渡り明へ。
赤霧は都より遠く離れた山奥で傭兵の育成を。
大陸に渡ってから13年の歳月が流れた。
1
季節は初夏。
樹木が鬱蒼と繁る
森閑とした森。
前方に小高い丘。
二人の若い男女が、
剣舞と呼ぶに相応しい舞を……
虚空に舞う二人。
体勢が入れ替わる
『かぁーん』
『ガキーン』
霧雨の中、淡い月光にキラリと剣先が煌めく。
木の葉の軽やかさで
地面に降りたつ少女。
純白の衣装を身に纏い優雅に髪をかき上げながら微笑する。
「お兄さま。
また腕を上げられましたね」
透き通るような白い肌長い黒髪。
天女を彷彿させる
美少女が愁いを含んだ声で、そう言った。
「雪蘭よ。わしの噂の事を聞いたのであろう。
本当の事を申せよ」
肩幅が広くがっちりとした躯の青年が、
響きのある声で言う。
「星龍兄様は、師匠の失踪以来、日課の鍛練も休みがちで、
女にうつつを抜かしているという噂の事?」
「噂は所詮噂よ」
『ハハッハハッ』
白い歯がこぼれる。
「しかし、ある意味からすればうつつを抜かしていたとも言える」
星龍が笑った。
人なっこい笑みである。
「お兄様おたわむれを!」
雪蘭がふくよかで艶のある声であった。
(星龍の浮気者め……心の中で呟いた)
雪蘭よ、そちと師匠が日本国から二年ぶりに戻った翌日に、
黒装束集団の襲撃を受け傭兵訓練所の大部分の人が死亡したんだ。
師匠は行方不明。
偶然、七毒教の教主(妖花)が通りがかり加勢して貰い全滅は免れた。
生き残った傭兵組頭の話しでは妖術を使う相手らしい。
たった五人で訓練中の傭兵部隊二十五人に攻撃を仕掛けるなんて無謀な……。
でも、自分の実力を試すいい機会だと大部分の傭兵は思っていた。
黒装束の頭が傭兵部隊を前にして、剣を地面に突き立て、ひょいと飛び乗った。
そして地の底から聞こえてくるような呪文を頭が唱えだすと突然、地面が割れ、
黒装束の頭は剣に乗ったまま地面の亀裂に吸い込まれた。
割れた地面から、どろどろした溶岩が溢れ出す。
溶岩の中から赤ぐろいサボテンのような植物が、にょき、にょきとせり出してきた。
妖植物の出現に合わせて突然、
雷鳴が轟き、真っ黒な雲か渦を巻きだした。
直径1メートル高さ3メートルの巨大な
妖植物の幹の表面に蠢く無数の恐怖に歪む顔。
『ぬしゃ~』
『シュー』
『じゆー』
不気味で耳障りな音を出しながら妖植物が、
幹や枝を揺らし蠢動している。
凹凸のある幹からモコモコとせり出してきた枝に
人面花が咲く。
濡れて光っている人面花の大きく裂けた口から
黄色の液汁が傭兵達に夕立の如く降り注ぐ。
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