第一話 新天地と不思議な少女
大変遅くなりました。
〜 第一話 〜 【新天地と不思議な少女】
眩い光に包まれた後千春達はとある高台の草原に寝ていた。
「…っん…。皆大丈夫?」
移動の衝撃で皆気絶していた所為かまだ頭がクラクラしていたが、ゆっくりと起き上がり辺りを見回すと、見覚えのある高台に居る事を千春は認識する。
その下には見慣れない街並みがあり何処と無く自分達の知る地の面影がある。今では誰も立ち入る事はずのない場所に…。
「あれは…。桜都…?」
千春の言葉に、他の皆も近寄り丘下を見た。
均等に配置された建物に、桜の木々が満遍なく散らばり、見事な桃色の街並みが広がり名が示す通りの風景を描いていた。
千春達のいた時代の大和の桜都は名が示す姿とは掛け離れ、桜の木は枯れ果て街並みは廃墟と化す。夜には高位羅刹に魍魎化されたモノ達が徘徊する。そんな風景だった。
5人は街に降りて二手に別れ桜都の街の情報と羅刹に関する情報を調べる事にした。
千秋と双子は貴族街を。千春と春樹は商店街を見て回る。そこには野菜売りや魚売りなど色々な店が建ち並び、人々は陰りなく生々と暮らしていた。
「ここが…昔の大和の街並みか…。」
春樹が唖然としながらも拳を握り締めたのが千春には分かった。
かく言う千春も未来の時代の人々を思い気持ちが溢れそうになる。
勿論、この時代にも危険があるのは承知だ。辻斬りや人攫いなどの危険がある。だがその危険すらもあの時代に比べれば優しいほうだ。それ程修羅の羅刹は脅威なのだ。
「…ん?気のせいかな。」
ふと商店街の横道から血の匂いがした。近寄ってみるが何もない。首を傾げながら踵を反すと和装と華風装束の中間位の服装をした少女がたっていた。
「「!!!!!」」
「こんにちわ♪」
声にならない声をあげそうになるがそこはさすがの二人。すぐさま自分の刀に手をやる。
二人の訝しげな警戒もなんのその。少女は微動だにせず手を振りながら挨拶をした。
「ふふっ。そんなに警戒しないで。あたしはあなた達の敵じゃないわよ。」
◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️
先程の少女は名を神楽と言った。
千の丘辺りで急激な力の高まりを感じ、それを調べていたらその丘から降りてくる人を見かけ様子を伺っていたらしい。
「…ふぅ。さぁ私はある程度話したわ。今度は貴女達が話す番では無いかしら?」
神楽は茶店の椅子に座り、お茶を飲みながらそう話した。
千春と春樹は顔を見合わせ意思の疎通を図る。
(どう思う。)
(嘘は言っていないが、全部は話していないというトコかと。)
「(だろね。)… 私達の国を救う為にこの国の在り方を見に来た…って所でしょうか。」
「ふふっ。半分本当で半分嘘かしらね。」
不思議な雰囲気を纏う神楽は笑いながら、千春の言の真偽を的確に言い当てた。
「貴女も全部話されていないのに、私達が話すわけ無いでしょう。」
「まぁそうでしょうね。…いいわ。情報交換といきましょうか。でも、此処ではダメね。」
「では、私達の宿でどうでしょう。私達の仲間が宿を取っているでしょうから。」
「そうね。そうしましょう。」
次回も遅くなります。