プロローグ
2032年 世界の科学は急速に発展、その中でも大きな成長を見せたのが日本だ。
元々、科学力では他の国に勝っていたこの国は、他国と決定的な差を生み出すため、2030年『サイボーグ法』を採択、これは人間をベースにし、その本体に主に3つの改造(攻撃的改造、防御的改造、頭脳的改造)を、施し、体の一部に機械の部分を持つ人間、つまり『サイボーグ』を生み出すことを国が許可、奨励するという法律だ。
しかし、人は圧倒的なものを恐れ、そして許さず、排除しようとするものである。国連はすぐさま日本に対して法律を見直すように迫った、そして1ヶ月後日本もこれを承諾、『サイボーグ法』を廃止した。その際問題になったのが、すでに作られたサイボーグの処分をどうするかだ。
アメリカはサイボーグにも人権はあるとし、日本にサイボーグを解放、そしてサイボーグのその後の支援をさせることを主張した。
しかし、それに強く反対したのが中国だ。サイボーグはすでに人間ではない、したがってサイボーグに人権はない、というのが中国の主張だった。
中国はアメリカを説得した。確かに、サイボーグの力は底知れず、現在、世界一の権力を持つアメリカにとっては、サイボーグは権力を日本に奪われかねない、危険な存在だった。
しかし、アメリカにも立場がある、現にサイボーグ保護活動団体などができていて、サイボーグを処分すれば国内からの反発も抑えられないかもしれない。
そんな時、なんと日本がサイボーグの処分を主張したのだ。理由は『サイボーグ法によって、世界から孤立した本国の信用を誠意を見せ回復するため』だった。アメリカも渋々同意し、サイボーグの処分が決定した。