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キングスロード〜2人の少年と7つの王国〜  作者: はるか遼
第一章 旅立ち編
2/12

第2話 冒険の始まり 2人の出会い②

ピュ〜〜〜


 2人は、地面めがけて真っ逆さま。まさに絶対絶命のピンチである。


 崖から落ちる瞬間、オージは夢見た王の姿を思い浮かべた。いや……このまま死ぬわけにはいかない。


「こうなったら一か八か……俺に捕まれ!」


 オージは、少年の手を取り、もう片方の手を広げて地面に向けた。


 地面に直撃しそうになるその瞬間


天空(テンクウ)!!」


 オージが唱えると、2人の身体はフワッと宙に浮いた。宙に浮いたのも、束の間、魔法が解け、2人は、地面に落っこちてしまった。


「いててて……間一髪だったな……」


「君は本当にすごいな! 今のは浮遊魔法かい? こんなの見たことないよ!」少年は先ほどのピンチも忘れて、オージに興味津々だった。


「いやぁ僕は魔法はからっきしダメだからだなぁ。ホントに尊敬するよ!ところで魔力切れは大丈夫だったのかい??」


「まあ走ってるうちに少し魔力が回復してたんだろ。それに気持ちが乗れば魔力は()()()。さてと、もとの場所まで戻らないとな……しっかし、ここどこだよ。」


 あたりを見渡しても目印になるようなものはなく、断崖絶壁と森の木々だけがそこにあった。


「このあたりには、村がたくさんあるのかい?」


オージは、立ち上がり、土埃を払いながら、聞いた。


「ん? いや、俺が住んでるヒガーシ村ぐらいのはずだが?」


「それじゃあこのケモノ道をまっすぐだね!」


「なんで知ってるんだ?お前この辺やつじゃないだろ?」


「崖から落ちる前に村が見えたからね!!」


「あんな状況で景色を見てたっていうのか?」


 オージは怪訝そうな顔で少年に問いかけた。


「その顔は疑ってるな〜? よし! じゃあ助けてくれたお礼に村まで僕が案内しよう!!」


 そういうと少年は、身なりを整え、ケモノ道を歩き出した。


「おい! ちょっと! まてよ!」


 慌ててオージも立ち上がり、とりあえず後ろからついていった。






「なぁ、お前王都からきたんだろ?」


 オージが尋ねた。


 少年は、少し驚いたような顔をして、


「あぁ! そうだよ! なんでわかったんだい?」


 と聞き返した。


「まあ格好をみればなんとなくね、このへんでそんな綺麗なカッコしてるやついないぜ。なんでこんなところに?」


「なるほど! 気をつけないとだな! 私は、ある調査で旅をしていたんだ。調査が終わって王都に戻ろうとしていたら、道に迷ってしまってね……」


「なんだ、おっちょこちょいなやつだなぁ……まあいいや! なぁ! 王都にはさ! スゴイ魔法使いがいっぱいいるんだろ?」


 どうやら、オージも王都の話には前のめりだ。


「う~ん、もちろんすごい魔法使いはいるけど、いっぱいってわけじゃないかもね! 君のように2種類の魔法を使えるのは王都でも珍しいんじゃないかな!!」


「まぁ、毎日ジーヤに稽古つけてもらってるからな! 魔法には自信あるぜ!」


「ジーヤというのは君の師匠かい?」


「師匠ってよりは育ての親かな? 俺の話はいいからもっと王都の話を聞かせてくれよ!」


 村までの道中、2人は、王都のについての話に花を咲かせた。


 ……………………


「じゃあ王都の授業も中身は、あんまし変わんないんだなぁ〜」


「それこそが王が目指したこのクニの姿だからね!」


「やっぱり王様はさすがだぜ!! いや〜、一度でいいから王都にいってみてぇなぁ〜」


 オージにとっても、少年にとっても王都の話をするのは楽しかった。


「オージは、よほど王や王都に関心があるんだな!」


 オージにとって少年の話はどれも刺激的だった。だからこそオージは少年には打ち明けたることにした。


「俺さ実は、王様を目指してるんだ! 無謀かもしれないけど、俺の夢なんだ!」オージは、頭かきながら、ほんの少しだけ照れくさそうにしていた。


 オージの言葉に少年はハッとした顔をした。そして


「そういうことか! 無謀なんかじゃない! 素晴らしい志しだ! それだったらまずは私が王都を案内するよ!」と提案した。


オージは、「本当か!!」と自然と笑顔になった。


しかし、 少し考え込んで顔を曇らせる。


少年の提案はオージにとってはこれ以上ない提案であったはずだ。そして、また話しだした。


「ジーヤが王都は危ないってうるさくてさぁ! それに、ほら、あれなんだよ。この村さ、ジーヤが獣とかから守ってるんだよ、まあ今は平和だけど、いつ昔みたいな危機が訪れるかも分かんないだろ?ジーヤも歳だし、これからは俺が守る番ってわけよ!」笑顔で話すがその顔はどこかぎこちない。


「まあ王都のことはちょっと興味あるけど、教育はこの村でも変わらないものが受けられることが分かったし、魔法のことならジーヤが、教えてくれるしな! それに王都にいないから王になれないってわけでもないしな!」オージは、なんとか言葉を紡ぐ。


「だから……わりぃけど俺は行けない。誘ってくれてありがとよ!」オージの強がりであることは、誰の目にも明らかだった。


「そうか、少し残念だが、君が言うなら仕方ない」


 少年は少し寂しい顔をしながらも、オージの言葉を受け止めようとした。


 だが、オージの目には熱いものが浮かんでいた。


 そんなオージをみて、こう続けた。


「オージ。確かに、君が言うことは大義だよ。間違ってないとおもう。だが、それは本当に君の意思かい?君はそれでは良いのかい?」 


「それは……」オージは少年の問いに答えることはできなかった。


 そうこうしていると2人は、村の入口までついた。


「本当に見えてたんだな……」


「だからそういっているであろう! じゃあ僕はここで失礼するよ!」少年は足をとめた。


「なんだよ! せっかくだし、ちょっとぐらいよってけよ!大したもんはないが、もてなすぜ!」


どうやら、オージは、まだ王都のことが聞きたいりない様子だ。


しかし、少年は、すこし考えこみ、答えた。


「お誘いありがとう。だが、実は王都にいそいで戻らなければ行けなくてね。あまりゆっくりしている時間はなさそうなんだ。」


 オージは残念そう顔を浮かべたが


「そっか、時間使わせちまって悪かった! まあいつかまた村に遊びに来いよ! 今日はありがとよ!」


と少年をおくりだした。


 少年も最後に


「そうさせてもらうよ! こちらこそありがとう!僕も君が王都に来る日を待っているよ! その時はかならず僕を尋ねてきてくれ!」と伝えて村を後にした。


 オージは少年を見送るとジーヤの待つ我が家に戻っていった。


「あ、そういやあいつの名前聞いてなかったな……」

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