『変人』と呼んで下さい!!
始めての、青春もの?です!
頭空っぽ、深く考えず読んでみて下さい!!
橙色の光が満ちる1年D組の教室。
「ねぇ、聞いた〜?」
私と同じく萬緑学園高等部に通っているクラスメイトであり幼馴染でもある華が私に問いかけてくる。
「ん?何を?」
年齢より小さめな身長、茶色い瞳に肩を少し超えた所まで伸ばした茶髪を後ろで括っている私こと、市瀬七菜は首を傾げる。
「それは〜」
「『それは』?」
「ある人のう・わ・さ・だよ」
「噂って誰の?」
「暗星の」
「暗星さんね。変なあだ名を付けちゃダメだよ」
「もぉ〜くっら〜いアイツなんかに優しいなっちゃんマジ天使〜!」
「うわっ!いきなり抱き着かないで!危ないでしょ!?」
「ごめんごめん!」
「それより噂って?」
「そうそう!放課後の校舎裏で変な事してるんだって!」
「変な事?」
「そう!!まぁ所詮、噂だけどね」
「ふ〜ん」
この話は私の生返事で終わった。
《こんな事があったのは3日前だ》
_現在 同じく放課後
校舎裏にて
(校舎裏に落としちゃった髪留めを探すのに時間掛かちゃったな〜。そろそろ帰ろ!…うん?)
「オ〜ホッホッ〜…。オ〜ホッホッ〜…!オ〜…ゲホゲホッ!」
腰まである黒髪に顔を認識さえ出来ない前髪、加えて私より小柄な体。
彼女はボソボソ喋って何かをしていた。
(暗星さん、何をしてるの!!?高笑いの練習!?でも、あれは…違う!!!)
「もっと腹から声を出しなさい!!」
「はぇ?」
「早くやってみなさい!」
「オ〜ホッホッ〜!!」
「もっと!」
「オ〜ホッホッ〜!!!」
「そう!良い感じじゃん!!」
「ハァハァ、で、出来た!」
「いぇ〜い!」
「い、いぇ〜い?」
私が両手を出すとそれに暗星さんはテシッと音を立ててハイタッチした。
「はっ、あ、貴方誰?」
「クラスメイトの市瀬七菜よ」
「クラスメイト…!気付きませんでした…。すみません…」
「良いのよ!私も貴方の名字しか知らないしね」
「あ、私名前は暗星杏里です…」
「よろしくね。…それより口を挟んでごめんなさい」
「良いんですよ、謝らなくて!私は嬉しかったです!始めてアドバイスを貰えて!」
「そう?良かったぁ。私、女優を目指してるの。だから演技への情熱が凄くて…。自分で言うのも何なんだけどね。あははは…。はぁ、ホントに恥ずかしい…なれっこ無いのに…」
「いえ、それは凄い事だと思います!夢があるのは恥ずかしくなんか無いですし、それだけ情熱的に力を入れられるのならきっと、いつか絶対になれます!!」
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しい」
「私の夢というよりなりたいものを聞いて欲しいです!私は変人になりたいんです!!」
『なりたいんです』と山彦するように聞こえた。
「変人に?」
『一体何故そうなった』と言う視線を向けるが本人は語り始めた。
「私、親が有名な医者で…それで私も医者になる事を強要して来るんです…断れなくてず〜〜っと言いなりでした…。でも、私はとある劇を今から凡そ5年前に観ました!その劇は私と似たような境遇の子が変人探偵団に救われて親へ反抗し、最後には独り立ちすると云う物語で…そこで私は決めました!高校に入ったら変人になろうと!!!」
(決めちゃったんだ…。それより、な〜んかその物語知ってるな…何だっけ…?)
「それで、さっきのはその練習してたんです!調べてみた所、変人はプライドが高いらしいので、お貴族様の娘ならプライドが高いなって思って!だから、ネットの小説を見漁ってた所、『プライドが山のように高い悪役令嬢の華麗なるざまぁ』ってものがあってその人が『オ〜ホッホッ〜!』って言ってたので真似してました!」
私は、ニコニコ楽しいですパワーに押されてたじろぐ。
「…もし、よろしければ私が建てた変人少女探偵団に入りませんか?団員はゼロですけど…これから増やす予定なので…。ダメ、ですか?」
キュルルン
「っ!」
うるうる
「は、入ります…!」
「やったぁ!」
妹属性のおねだり暗星ビームは姉属性の七菜には有効だった。
_これから数多ある謎を4人で解いていくのを七菜はまだ知らない。
◇続く◇
お読み頂きありがとうございました!!
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続きを今書いている『悪魔と自殺した俺』が完結したら書こうと思いますので読んでくださった皆様と会う日を楽しみに心待ちにしております。
凛架 りすみ