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「あいつ、ナジルと言ったか。あいつは商業ギルドの仕事の勉強だけではなく、


これまでろくに勉強しておらず、商業の勉強どころか、普通の学園でさえも、卒業していないみたいだぞ。


話によると、経済的な理由ではなく、人間関係のトラブルで学園に登校しなくなったのが原因らしいが。」


俺は勉強の資格については、そこまでこだわるタイプではない。


資格はなくても、学園を卒業していなくても、真面目に仕事をきちんとこなしている連中を多く見てきたからだ。


だがナジルについては、学園を卒業できてないと聞いた時点で、そうか、そうだったか、だから基礎的な話が通じないのか!と、妙に納得してしまった。


それに、人間関係のトラブル…


ナジルには、これまでにも、多数ありそうだな…


「ギルド入る時の試験、ナジルは、これまで見たことないくらいの最低点だったんだ。


俺は採点させられたからな。


百点満点で十とか十二点くらいしかあいつ点取れてないんだぞ?」


ちなみにギルドの試験は、そこまで難しくない。

日常範囲の常識、少しの算術ができたら上等とされ、テスト内容自体もかなりゆるいものだ。


「テストの点が全てじゃないと言いたいところだが、ナジルは、なぜか理解や判断が普通の人と比べて難しいみたいに思えてな…


指導どうしようかと悩んでいたところなんだ。」


「それは申し訳ないが、この件で悩むのは、お前の人生の時間を無駄にすると思う。あいつを俺等のように育成するのは無理だ。


なぜなら、本人のやらなかった学園の勉強を一からこちらで教えていかないと、おそらくヤツは言われてることを理解できるようにはならない。


でもナジルはお前の話聞かないんだろ。


学園の勉強なんかやってもらえないだろうし、やらせる暇もないだろうしな。


まあ、実際は新人の力量がどうしても足りない場合でも、


最近は指導側の力不足と言われてしまうので、それらは全部お前のせいになる。」


「なんでナジルが入って来たんだろう。せめて他のやつなら良かったのに!」


ここでこぼしても仕方ないのだが、言わずにはいられなかった。


「俺はあいつをいれるのに反対したんだが、上になにか思惑があるらしくて、そのために都合がいいらしい。」


先輩はさらに詳しく話をしてくれた。内容はかなりヤバイものだった。


話の中で連中がナジルを雇った真の理由を言ってくれたが、


こちらがバトーから聞き出した理由とは全く異なっていた。マジか…


話の内容がヤバすぎる。もうここには留まらないほうがいいと感じられる。


「お前も、早くここを辞めた方がいいぞ。


まあ、いきなり俺の話を聞いても信用できないなら、


残り二人に話を聞きに行っても、俺は気にしないから。


別にいいぞ、そのくらい。」


俺は礼を言った。裏をとりに残り二人に聞きに行くつもりはなかった。


聞いた話と、これまで疑問に思っていたことが、符号することが多数あったからだ。


わざわざこれまで対立していたこともある俺に話をしてくれたのは、ありがたかった。


仕事のやり方でしばしば意見を違えていたが、彼はどこか正義感がある人間で、それがわかっていたからでもある。


自分もこの職場は、できるだけ早く辞めるべきなんだろうな。


辞め方、どうしようかな…


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