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ナジルは、先輩は横暴だのなんだの口走りはじめた。


そうしているうちに、どんどん興奮してきたらしく、「こうなったらケリをつけるしかない、そうしたいんだろうが、この嫌がらせ野郎めが!」と叫びだした。


「この野郎、サシで勝負しやがれ!」


俺はショックで立ち尽くしていたため、反応が遅れてぼうっとしてしまっていたが、ナジルが物差しを掴んでこちらに向き直ったのが目に入った。


「ケリをつける?

その物差しで何をするんだ?」


「いちいち説明しないとわからないんか!」ナジルは謎の言動を取りながら、自分の持っているものとは違う物差しを、こちらに投げてよこした。「さあ、これで公平な勝負となるだろ」


「なにをしているのか、よくわからないんだが…」


ナジルはさらにこう言い放った。

「俺の方が大きい物差しを持ってるんだが、俺がビッグなのがふさわしい男だからそれは仕方ないからな。


俺にはスケールが大きいものが似合うんだ!思い知れ!」


そしてナジルは物差しをブンブン振り回し始めた。

「さあかかってこい!サシで勝負だと言っただろ!」


はあ?サシで勝負って…


物差しで勝負することだと思って…いたり、しない…よな?


ナジルは物差しを握ってない方の手で、ポケットから勇者のプレートを出した。


ナジルがそれを俺の目の高さくらいまで掲げると、

窓越しの陽の光に反射してプレートがきらめき、俺の目を射た。「うっ!」


「くらえ、これが、

これこそが勇者パワーだ!

やられちまえ、目障りなレイオ!」


ナジルはそう言いながら物差しを激しく振り回したが、自分の行動に煽られ、さらに興奮してきたらしく、


真っ赤な顔になり、荒い息を吐きはじめた。「ハアッハアッ」


キメエぞ、こいつ…寄るなっ近寄るな!


俺は眩しさから回復した視力で部屋を見渡し、


扉の方へと行けるように、ジリジリ後ろに下がった。この部屋から逃げないと…!


「このヤロ、ちゃんとサシで勝負しやがれえ!」ナジルは物差しをぐるんぐるん振り回しながら、こちらに近寄ってくるのだった。


だがその物差しの先が窓ガラスに当たると、バリンガシャンとでかい音を立てながらガラスは割れてしまった。


「あっ…こうなったのはレイオのせいだからな!俺はちゃんとサシで勝負しようと、お前にも物差しを用意してやったんだ!俺は悪くないからお前のせいだ」ナジルはそう言うと物差しを床に落として逃げてしまった。


俺もすぐ誰かに見られないうちに、その部屋は出た。そうしないと俺の給与からガラス代が引かれると思うので、一般的なモラルはどうあれ、ここでは正しい判断なのだ。


まわりに誰もいなかったし、あまり人の立ち寄らない部屋だったせいか、窓ガラスが割れたことは俺の知る限りでは露見しなかった。

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