空に溺れる
宇宙適性ないのに出撃するから!
天井みたいに見えてた空は
とびこんでみれば 海みたいに深い蒼だった
羽もないあたしは クロールもできないで
足におもりをくくりつけられて
水底みたいな黒い大地に叩きつけられる
なんてことなの
羽のはえた魚じゃないあたしは
空を泳ごうなんてするべきじゃなかった
叩きつけられた黒い大地は
愚かで羽のはえてない魚を
潰れたユッケにしてくれるけど
はじめっから水底を歩くエビだったら
意外と自由に闊歩できてたはず
深さがある空に ときはなたれたほうが
自由になれるなんて とんだ妄想で
羽のはえた魚じゃないあたしは
空を泳ごうとなんてしないで
水底を歩くエビであることを
それなりに楽しめば
空に溺れて黒い大地に叩きつけられることなんてなく
潰れたユッケにされることなんてなく
のっぺりしたこのひろがりを楽しめたんだ
それが身の丈にあった自由ってものじゃない?
羽のはえた魚じゃないあたしには
海みたいに深い蒼は
自由すぎて 手に負えない不自由だった
あんたも空に溺れてやしない?
もし あんたが羽のはえてない魚なら
海みたいな深い蒼にとびこむより
黒い大地に足をつけて闊歩 闊歩しよう
それなりに不自由で でも手ごろな自由でしょ?
空に溺れるのに憧れるのは
やめちゃってもいいんじゃないかなって
あたしはそう思いました
のっぺりしたひろがりをくれる黒い大地
水底を歩くエビのまま 闊歩 闊歩しよう
換装してから出撃しましょう。