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テーマ詩集:空

空に溺れる

作者: 歌川 詩季

 宇宙適性ないのに出撃するから!

 天井(てんじょう)みたいに見えてた空は

 とびこんでみれば 海みたいに深い(あお)だった

 (はね)もないあたしは クロールもできないで

 足におもりをくくりつけられて

 水底(みずぞこ)みたいな黒い大地に叩きつけられる


 なんてことなの

 (はね)のはえた魚じゃないあたしは

 空を泳ごうなんてするべきじゃなかった

 叩きつけられた黒い大地は

 愚かで(はね)のはえてない魚を

 (つぶ)れたユッケにしてくれるけど

 はじめっから水底(みずぞこ)を歩くエビだったら

 意外と自由に闊歩(かっぽ)できてたはず


 深さがある空に ときはなたれたほうが

 自由になれるなんて とんだ妄想で

 (はね)のはえた魚じゃないあたしは

 空を泳ごうとなんてしないで

 水底(みずぞこ)を歩くエビであることを

 それなりに楽しめば

 空に溺れて黒い大地に叩きつけられることなんてなく

 (つぶ)れたユッケにされることなんてなく

 のっぺりしたこのひろがりを楽しめたんだ

 それが身の(たけ)にあった自由ってものじゃない?

 (はね)のはえた魚じゃないあたしには

 海みたいに深い(あお)

 自由すぎて 手に負えない不自由だった


 あんたも空に溺れてやしない?

 もし あんたが(はね)のはえてない魚なら

 海みたいな深い(あお)にとびこむより

 黒い大地に足をつけて闊歩(かっぽ) 闊歩(かっぽ)しよう

 それなりに不自由で でも手ごろな自由でしょ?



 空に溺れるのに(あこが)れるのは

 やめちゃってもいいんじゃないかなって


 あたしはそう思いました


 のっぺりしたひろがりをくれる黒い大地


 水底(みずぞこ)を歩くエビのまま 闊歩(かっぽ) 闊歩(かっぽ)しよう

 換装してから出撃しましょう。

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【この作品にインスピレーションをくださったのは】
星花 愛 先生
― 新着の感想 ―
[良い点]  タイトル、いいですね。  「あたし」はそのうちに羽を生やして、また空へ飛び出すように思います。  >とびこんでみれば 海みたいに深い蒼だった  ここ、好きです。 [一言]  SF、…
[一言] タイトルが格好良いですね。 羽の生えた魚だったならきっと、空を泳げたのかも知れないけれど、それを望むことは分不相応だったのでしょうか。 でも空を泳ごうとした「あたし」はとても勇気があるひとな…
[良い点]  自由すぎて手に負えない不自由。  不自由だからこそ自由。  歌川先生にとって、ひとつのテーマでもあるのかな、と思いました。 [一言]  今いるところでできることを。  それだって大事な…
感想一覧
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