表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/6

ハロルド編

今回はシルヴィーのお兄さん、ハロルド編です。

ハロルド編


俺は大量の書類を抱え、第一騎士団団長の執務室に居る。


「やっぱり、シルヴィーったら王宮でも走り回っているのね」


目の前にいる、漆黒の髪に琥珀の様な目を持つ美丈夫が、クスクス笑いながら水晶球を覗き込んでいる。


「エイン、口調が……」

「いいじゃない。アンタしか居ないんだから」


完全に女言葉だ。

まぁ、事情を知ってるから強くは言えない。


エイン・アンバー第一騎士団団長は前世の記憶を持っている。

しかも、驚いたことにシルヴィーの職場の先輩だ、と言っている。


「年齢が合わないんだけど」


その事を教えられた時、俺は素直にそう思った。


「あたしもそう思ったけど、細かい事は気にしない。解んないもん」


いや、気にしてくれ、と思ったが無駄だ。


「それにしても良く気が付いたな」

「あの子、約束する時必ず小指を出すのよ。この世界には無いでしょ」


指切りげんまん、とか言うものは確かにこの世界では聞いたことがない。


「あたしは前世であの子を守れなかった。だから、新しい人生では大切に思う子が出来たら守ろうって決めてたの」


そうエインは言って、優しい目をしてた。


「それがあの子だなんて、もう最高」


見た目と言動の落差に、眩暈を起こしそうになる。


「で、その書類、裏が取れたようね」


口調は変わらないが、目付きは騎士団長のものに変わる。


「シルヴィーに対しての嫌がらせが5件。後はお花畑が1件」

「嫌がらせは放って置いても問題はないだろうけど、お花畑は誰に?」

「シルヴィーに」


俺はうんざりしながら答える。

この手の話、少なく無いんだよ。


「アーネストが自分の運命の恋人でって騒いでたアホ、前にも居たわね」

「今度は逆。シルヴィーが運命の恋人で……」

「……粉砕してくる」


頼むから、理性を蒸発させるなって。


アーネストが殿下と視察で不在だから、これ幸いと噂をばら撒いているが、誰も信じてないから。


「甘いわ。あの子は前世でお花畑にストーカーされて……」

「おい、俺が知ってるって事はあいつも知ってる筈だろ」

「今やるの」


やるが、殺る、に変換されない事を祈るだけだ。


バン、とドアを開け騎士団の詰所でエインが自分の補佐官に声を掛けた。


「シン、キー、手が空いてるなら手伝え」

「アンバー団長、何かありましたか?」


走り寄ってくる赤い髪の騎士が首を傾げる。


「シルヴィーに邪な欲望を抱えた奴を駆除する」

「お供します」


途端に、2人の目が据わった。

当然、他の騎士達の目も殺気で鋭くなっている。


シルヴィー至上主義しか居ないのか?此処は。


結果、シルヴィーに横恋慕していた奴はエイン達によって精神がボロボロにされた。

何故かハロルドが苦労人になってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ