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元皇女なのはヒミツです!  作者: あまぞらりゅう
本編

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62 おまけ

 今日は二週間振りの学園だ。


 この短期間にフレデリック様との婚約やら色々あって、学園は休ませてもらっていたのだ。久し振りに制服の袖に腕を通すと、まだ平民のリナのような気がしてきて、ちょっと懐かしい気分になった。


 でも、もう私は皇女エカチェリーナ。

 二週間のあいだ、王宮の侍女たちに全身を磨きに磨かれて、髪の艶も昔のように戻って労働で荒れた手も少しはましになった。見違えるまではいかないけど、まぁちょっとは皇女らしく見えるようになったかしら。




 ――コン、コン。


「リーナ、そろそろ出ようか」


 廊下からフレデリック様の声がする。私たちの部屋は隣同士だ。実は二つの部屋は内部から扉で繋がっているのだけど、正式に結婚式を迎えるまでは決して開けてはならないと国王陛下から厳しく言われていて鍵がかかっていた。


「はい、参りましょう」


 私はフレデリック様にエスコートをされて馬車へと向かった。

 ……向かったのだが、私の知っているエスコートに比べていささか距離が近い気がする。彼は私の手を握ったと思ったら、身体の後ろに回ってべったりと張り付くように歩き始めた。


「あの、フレデリック様」


「なんだい?」


「歩きにくいのですが……」


 さっきから彼の脚が当たって歩きづらくてしょうがない。


「なんだって! それは大変だ!」と、彼はふわりと私を持ち上げた。


「降ろしてください」


「だって歩くのが大変なんだろ?」


「フレデリック様がぴったりと張り付いているからです!」




 彼に抱きかかえられたまま馬車に乗って一息ついたと思ったら、今度は彼は私の正面ではなく横に座る。

 たしかに王族の馬車は大きいから広さ的に問題はないのだけれど……なぜ、わざわざ隣に座るのかしら。


「あの、フレデリック様」


「なんだい?」


「せっかく広い馬車ですので、あちらに座られたらいかがでしょう」


「もし事故などでリーナが危険な目に遭ったら隣に座っていたほうがすぐに君を守れるだろう?」


「そ、そうですか……」


 馬車に乗っているあいだ、彼はどんどん私のほうに席を詰めてきて窮屈で仕方がなかったわ。




 そして、学園に着いて馬車から降りると、


「あ、あの、フレデリック様!」


「なんだい?」


「私、一人で歩けますので! 降ろしてください!」


「さっきは歩きづらいって言っていたじゃないか」


「も、もう大丈夫ですので!」


「う~ん、学園で悪い虫が付く危険性があるからこのまま教室へ向かおう」


 結局、彼の腕の中から逃げることができなくて、私は教室まで恥ずかしい姿を晒しながら向かうはめになったのだった。

 令嬢たちの黄色い声が聞こえる。物凄く好奇の目を向けられている。み、見ないで……。




 教室に着くと、フレデリック様は私を椅子の上に丁寧に降ろしてから、床に膝を付いて着席した私を見上げた。


「ちょっ……フレデリック様!?」


「なんだい?」


「すぐに立ち上がってください! 王族が簡単に膝を付いてはいけません!」


「話が終わったらね。リーナ、二週間振りの学園だし、君の身分も明かされていろいろ大変だとは思うけど、負けずに頑張ってね。僕はいつも君の側にいるから」


「分かりました! 分かりましたから、早く立って!」


 フレデリック様は私の手に口づけをしてから去って行った。周囲のクラスメイトたちがきゃあきゃあと騒いでいる。私はげっそりとして、頭を垂れた。




 そして昼休み。チャイムが鳴ると同時にフレデリック様がやって来て、私を王族専用のテラスに連れて行こうとまたぞろ抱きかかえようとした。

 私は慌てて立ち上がって、


「ひ、一人で歩けますから!」と、足早に目的地へと向かった。


 王族用の昼食は専属の料理人が作っていて、既にテーブルには様々な料理が並んでいた。


「さ、リーナ。いただこうか」


「あの……フレデリック様」


「なんだい?」


「この状態ですと食事ができません。降ろしてください」


 彼はいつの間にか膝の上に私を乗せて、がっちりと抱きかかえていたのだ。


「心配しないで? 僕が食べさせてあげるから」と、彼はおもむろにスプーンでポタージュをすくって、私の口元に持ってきた。


「自分一人で食べられますから!」


「もしリーナが喉を詰まらせたり火傷したりしたら大変だろう? さ、口を開けて」


「っ…………!!」



 私は凍り付いた。


 これは……駄目になるやつだわ!


 卒然と初対面のときのアミィの顔が頭を過ぎる。

 彼女がああなったのは、ほぼフレデリック様のせいだと瞬時に確信した。きっと今みたいに可愛い従妹を甘やかせまくって、あの子をあんな我儘令嬢に仕立て上げたに違いない。

 王族には下の者は絶対に逆らえない。だからシェフィールド家の侍女たちも諫言できなかったんだわ。可哀想に。



 頭がくらりとした。

 このままでは私が昔のアミィみたいになってしまう。その前に、なんとしても彼の暴走を止めなければいけないわ。



 私が……私がしっかりしないと…………!




最後まで読んでくださってありがとうございました

厚く御礼申し上げます


是非、評価★★★★★、ブックマーク登録で応援宜しくお願い致します



2022/4/2 天空竜


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