第1王子ですが、変装を極めた結果、公爵令嬢に似てるので噂の男爵令嬢を指導してました。
第1王子のカイン、アルバータです。
王家の暗部の事はよく分からないが、変装のスキルを上げることは潜入捜査など使い勝手がよさそうだと思っていた。
小さいころからの積み重ねもあり、この王都の第1学園で、王子とバレないぐらいの変装スキルは上がっている。
だが、潜入は男に変装するより女性に化ける方が成功率が上がるとか書籍で読んでしまった。
結果がこれだよ。
かなりかわいい感じに仕上がった。
というか婚約者のアンリにそっくりであった。
これなら、級友たちも騙せるんじゃないかと、何かまずいスイッチが入ってしまった。
悪いとは思っているが反省はしていない。
タイミングも悪かった。
アンリは王妃教育で早退していたなと、ふと思い出してしまった。
極めし変装スキルを存分に振るおうではないか。
俺は昼休み、かねてから準備していた。
変装グッズや衣装に身をまとい、化粧もした。
よっぽどの親友が見破ろうと思わない限り、アンリと瓜二つになってしまった。
俺は自分の才能に惚れ惚れしながら廊下を歩く。
廊下では、普通に挨拶をしながら通り過ぎようとしていたら
声をかけられた。
「アンリ様、カイン様と別れてください。」
ふと振り返ると、全力疾走かと思うスピードで
ピンクピンクした男爵令嬢が寄ってきた。
「確か、あなたは・・・」
「カイン様の恋人のモネリカです。」
あっ。勝手に俺を恋人と言うのか、この男爵令嬢は。
まあそんな不敬な行動よりも、彼女は俺がアンリだと、
思っているな。恋人というところは触れないでおこう。
「あなた、」
「モネリカです。」
「だから、今は名前何てどうでもいいのよ。
あなた、」
「モネリカですぅ。」
話が進まない。
「・・・モネリカさん」
「はい。」
「淑女として、廊下は走ってはいけませんよ。」
「でも、アンリ様にどーしても伝えなきゃなかったんです。
カイン様は私の物です。別れてください。」
あっ、この子は、話してもムダな子だ。
仕方がない。それにアンリにも無礼すぎるし。
ドン。いわゆる壁ドンだ。彼女の肩を壁に押さえつけた。
次に口を手で押えこむ。声をなるべくアンリの声で、でも低めに。
「良いかしら、モネリカさん。1度しか言いませんよ。
カイン様は私の婚約者です。あなたはカイン様の何を分かっているんですか?
私の周りにも近づかないでください。うるさいんですよ。」
モネリカさんの顔が、なんか赤くなってきている。
あっ、押さえすぎた、呼吸ができてないな。
俺は慌てて、壁ドンを解除する。
「ぷはぁ。ごほごほ。」
「これに懲りたら、少しは大人しくなさってくださいね。
失礼しますね。」
周りにちょっと人が居る。どうしよう。
後日、アンリが王妃教育で居なくなるタイミングを見計らって、変装の訓練をしていたが、
事あるごとに、男爵令嬢モネリカは絡んできた。
ある時は、廊下で破れた教科書を持ちながら、
またある時は、階段で近づいてきたのを避けたり、
また食堂でジュースを楽しんでいたらぶつかって来たり。
モネリカさんの行動が全く分からなかった
この卒業パーティーまでは。
卒業パーティも良い感じに盛り上がり、そろそろ終わりが見えてきたところで、
あの男爵令嬢の声が響く。
「カイン様、私モネリカは、そこのアンリ公爵令嬢に
いじめられています。」
あーあー。このタイミングで言うのか、
君は。
完
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あとがきのコーナー
京安藤しーぷです。
ご覧いただきありがとうございます。
久々に、第1王子物ですね。
第1王子が変装の名人かつ王都の学園で悪目立ちする、男爵令嬢を、優しく叱る
叱る(物理)
ですね。
王子のCV 誰なんですかね。
まあ、第1王子が意外と婚約者思いな所も垣間見えつつ。
こんな感じに仕上がりました。
でも、王妃教育頑張ってる公爵令嬢に変装する王子とは・・・
まあ、密偵スキルを上げたかったんでしょう。
タイトルでは「パーティで代わりに断罪されました。」
までついてたはずだったのに、キリが悪かったというか、パーティで入れ替われなかったので没。
まあIFルートを作らざるを得ないですね。まあ更新未定ですが。
次回作もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。