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青春だけを求めるオタク高校生  作者: 多磨綺羅
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第一話 彼女との出会い


 

 「高校生活」とは青春と恋愛に満ちている。


 

 誰だこんなことを言い始めたのは。


 

 今日、高校2年生になった俺、神田真斗は人生初の高校生活1年間でこの大間違いに気付いていた。

家から自転車で約20分のところにある平凡な高校に通っている平凡な高校生だ。

平凡な授業を平凡に受けて、平凡な部活で平凡な汗を流して、、、本当に誰なんだ、俺の「高校生活」に期待を抱かせたのは。

そんなのはアニメとドラマ特有の理想郷でしかない。

 

 俺はこの1年間で青春と恋愛を求めていろいろ試した。

部活動に励んでみたり、生徒会に入ってみたり、帰宅部になってみたり、時にはバイトばかりの日々を過ごしてみたりした。

結果から言おう。皆無でしかなかった。

どんな状況に居ようとそこに青春も恋愛もなかったのだ。

そして1つの結論に至った。



 ー俺が変わるのではなく、学校を変えればいいのだとー


  

 と、まぁこんなことを考えつつ入学式と始業式を終えた俺は早々と下駄箱に向かった。

昨日録画しておいた深夜アニメを早く観たいからだ。

もちろん学園恋愛シリーズだ。

現実で青春出来ないなら二次元の世界で青春すればいい、というオタク臭い理由だが、そもそも俺はおそらくオタクという科目に属してるのだろう。

週に1回は秋葉に通い、観たアニメの聖地は全て網羅している。

コミケはもちろん、好きなアニメの舞台挨拶や展覧会は北海道だろうが沖縄だろうがどこまでも飛んでいく。

最近は正直、リア友よりネッ友の方が多いかもしれない。

あ、1番仲がいいのはcti_kuwaさんだ。

リアルなことは知らないが一応高校生らしい。

この人とは3年前にとあるアニメの話題で盛り上がり、お互い学園恋愛好きということもあって、よく話すようになった。

今では毎晩チャットをしているくらいだ。

いつかリアルでも会ってみたいとも思うが―――。



 下駄箱に着いた俺はふと違和感を覚えた。

誰かに見られている気がする。

というか朝から何回か誰かの視線を感じていた。

俺は下駄箱から出るフリをして恐怖半分•苛立ち半分で思い切り振り返ってみた。



「•••••」


 

完全に思考回路が止まった。

生まれて初めて人の顔に見惚れていたのだ。


 

 そこには、肩より少し長めで綺麗に下された艶のある黒髪に、まるでガラス細工のような透き通る白い肌。

そして完璧な美貌に当て込まれている漆黒の瞳。

身長は160cmくらいだろうか。女子にしては高い。

細身な身体にしては出るところは出ている。


 しかしなぜこんな美女がこんな学校にいるのだろうか。

見た感じ我が校の制服ではなさそうだ。

ていうか、さっきからすごい睨まれている。まじで怖い。



「えっと•••」


 

 女子とまともに話したことがない俺がなんて聞こうか迷っていると...



「•••ー。」



 彼女は回れ右して行ってしまった。



「えっ。ちょっ、まっ。」



 突然の行動に戸惑ってしまったために、彼女を呼び止めることが出来なかった。



* * *



「ーー、いてっ。」



 プニッとした手で顔を殴られて目が覚めた。結構痛い。

まるで猫パンチを喰らったかのような感触と痛みだ。

いや、実際猫なのだが...。

飼い猫にしては珍しい黒猫だ。

2年前に仕事の関係で海外で暮らすことになった両親が、当時中3だった俺に残した唯一の家族だ。

ちなみに名前はヤミで性別はメスだ。

そんなヤミに起こされて、俺は顔を洗いに洗面所に向かった。


 鏡を見て思うが、俺の黒髪も捨てたもんじゃない。

髪質なら昨日の黒髪美女に負けない、と思う。

結局昨日は、下駄箱から出て行った後、黒髪美女には一度も会わなかった。

さて、本当になんだったんだろうか。まさか俺に惚れたわけじゃあるまいし。

あの後は普段通りに家に帰って、溜まっていたアニメを消化してベットに入った。

特に変わった事もない。

強いて言えば、下の人が引っ越してきた事と、3ヶ月も前から予約注文していたフィギュアが届いたことくらいだ。

 

 顔を洗い終えた俺は冷凍しておいたパンにバターを塗ってトースターの中に二枚突っ込んだ。

あとはトースターに任せておけば朝食は完成だ。 部屋に戻って制服に着替えていると、任せきりにしていたトースターに呼び出しされた。

こうして朝食をとって俺の朝は終わった。



* * *

 


 七階建てマンション、七階在住の俺にはエレベーターは必須だ。

というわけでエレベーターに乗ったのだが、珍しいことに六階で止まった。

このエレベーターには窓がない。

だから俺は本当に驚いた。

ドアが開くと昨日の黒髪美女が立っていたのだ。



「...はっ?」



「...‼︎」



 目の前の彼女も流石に驚いていた。

というより、俺に会ったことに対する嫌悪感の方が強いと思う。

えっ?なんで??俺なんかした???

と、とりあえず質問から始めよう。



「えっと、なんで俺のマンションに?」



「引っ越してきたのよ。」



「あぁ。昨日の。」



「そうよ。なんか文句あるの?」



 えぇ...。なんでこんなに嫌がられてるの?

汗臭くもないし服だって着ている。

納得いかないな。美女に嫌われるのは避けたいところだ。



「前に会ったことありましたっけ?」



「ないでしょ?なんでそんな事...。なるほど、気付いてないのね。」


 

 そうだ。気付いてない...。

そんなわけあるか!こんな美女、俺の脳細胞が忘れるわけがない。

今まであった女性の中で1番美人だ。


ん?ちょっと待て。今、会った事ないって言った?

なんか言ってる事おかしいよな?どゆこと?



「気づいてない...とは?」



「そのうち分かるんじゃない?」


 

 疑問を疑問で返した彼女は、いつの間にか一階に着いていたエレベーターから降りていった。

これ以上の問答は無駄だと感じた俺は、カップラーメンが出来るくらいの時間を空けてエレベーターから出て行った。



* * *



初めての自作ストーリーです。自分の高校生活がこーなってれば、という思いからこの作品は生まれました。基本的に三回か四回の投稿で一話になっています。ご了承下さい。また、読んでくださった方、本当にありがとうございます。これからも投稿していくつもりですのでよろしくお願いします。

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