漫才:ものまね
――ボケ、ツッコミ、両脇から普通に登場
ツッコミ「どーもー」
ボケ「どーもー」
ツッコミ「いやー最近は異常気象で大変ですね」
ボケ「いやー最近は異常気象で大変ですね」
ツッコミ「まあ異常が多すぎて異常が正常になってる気もしますが」
ボケ「まあ異常が多すぎて異常が正常になってる気もしますが」
ツッコミ「おい」
――ツッコミ、ボケの頭をはたく
ツッコミ「なんで繰り返してるんだよ!」
ボケ「いやあ、最近モノマネがブームだから、それに乗っかろうかとお前の真似を……」
ツッコミ「こういうのはモノマネとは言わないから! それにしても確かに最近モノマネ芸人が増えてきたね」
ボケ「そうそう。たとえばりんごちゃん」
ツッコミ「りんごちゃん、今年大ブレイクしたね」
ボケ「みかんちゃん」
ツッコミ「あの人はあまりちゃん付けで呼ばれないけど、まあみかんさんね。松嶋尚美さんのものまねとかで有名な」
ボケ「ぶどうくん」
ツッコミ「……ちょっとよく分からないな。でも、本当にいる可能性もあるから、微妙にツッコめない……」
ボケ「ドリアン助川」
ツッコミ「ドリアンさんはモノマネ芸人じゃないだろ!」
――ツッコミボケの頭をはたく
ボケ「あれ、そうだっけ? 俺の心の中ではモノマネ芸人だよ。ひとま――」
ツッコミ「はいそれ以上は禁止ね。で、お前自身は何かものまねのネタないの? さっきの不愉快でサイコなやつじゃなくて」
ボケ「不愉快でサイコってお前……。こほん、ではこれから私がモノマネをしますので、何か当ててください。あまりに上手すぎて、私の才能に嫉妬してわざと間違えるのはやめて下さい」
ツッコミ「いや、別に嫉妬なんかしないし、むしろ似ててほしいと思ってる。芸の幅も広がるし」
ボケ「それでは最初の問題です!」
――ボケ、鳥が羽ばたくような格好をする
ツッコミ「鳥っぽい動き……あー、むかーしタモリさんがそういうネタをしてたような……」
ボケ「正解は鳥です」
ツッコミ「本当にそれだけかよ!」
――ツッコミボケの頭をはたく
ボケ「第2問!」
ツッコミ「まあ期待しないで見ているよ……」
――ボケ、先ほどとほぼ全く同じ動きをする
ツッコミ「……どう見てもさっきと同じにしか見えない。でもさすがに同じ鳥じゃ問題にならないし……」
ボケ「くるっぽー、くるっぽー」
ツッコミ「ああ、そういうことね、はいはい答えはハト」
ボケ「ぶっぶー!」
――ボケ、つばが顔につくぐらいツッコミに近づき、口を尖らせて力の限り言う
ツッコミ「きったねーなー! じゃあ答えはなんだよ!」
ボケ「昔隣町に住んでいた、産まれた時から自分のことをハトと思い込んでいる通称ハトおじさんこと籔下さんです」
ツッコミ「知るかそんなけったいなオヤジ! こうもっと、誰にでも分かるようなモノマネにしろよ!」
ボケ「そう思って最初に鳥を選んだんだけど……」
ツッコミ「そういう男子小学生が自信満々にやるようなやつじゃなくて、もっとこう固有名詞のモノマネだよ! 俺も良く知ってるような人!」
ボケ「注文が多い……。たいしてギャラもらってないくせに……」
ツッコミ「お前もな! コンビだし!」
ボケ「じゃあ第3問!」
――ボケ、拳を握りながら「横浜たそがれ」を歌い始める
ツッコミ「あ~、なんというかベタなのきたな~。そしてクオリティも超微妙だし」
ボケ「うるさいわ、それで、誰か分かったのか?」
ツッコミ「五木ひろしさんだろ」
ボケ「ぶっぶー!」
――ボケ、またつばが顔につくぐらいツッコミに近づき、口を尖らせて力の限り言う
ツッコミ「もうホント汚いなお前は! じゃあ誰なんだよ!?」
ボケ「正解は近所のスナックで自信たっぷりに横浜たそがれを歌っている、お前のお父さんの真似でした」
ツッコミ「それは俺でも知ってるじゃなくて、俺だけしか知らない人だろ! ていうかそう言われると似てる気がしてきたし!」
ボケ「そうか? 俺も良く知ってるけど」
ツッコミ「お・れ・た・ちしかな! 他にはもう無いのかよ!?」
ボケ「じゃあこれが最後のネタ!」
――そう言って突然ツッコミを殴る
――ツッコミ大げさに痛がる
ツッコミ「いった! お前何すんだよ!?」
ボケ「さあ誰だ!」
ツッコミ「ていうかこれモノマネの一部かよ!? いったい誰だよ」
ボケ「俺が知る中で最高の芸人の真似だ」
ツッコミ「ええ……ダウンタウンの浜田さんさんとか?」
ボケ「違う」
ツッコミ「じゃあ誰だろ、色々思いつくけど……」
――ボケ、ぽんとツッコミの肩を叩き
ボケ「お前だよ相棒!」
ツッコミ「ボケ……」
――ツッコミ軽く感動し
ツッコミ「あまーい!」
ボケ「お前がものまねしてどうする」
――最後にボケが突っ込んで終わり
――了――