捻くれ者の回顧日記
初めまして羊と申します。この作品は私にとっての処女作です。至るところが何もありませんが最後まで読んで頂けたら幸いです。読者の方々の意見を次話以降の参考にしたいので、ぜひコメントを宜しくお願いします。
僕には生きる才能がない。平均50点未満の人生だ。周りの人は努力が足りないと言う。違う。努力だって立派な才能だと思う。僕にはそれすらなかった。僕は生まれた時から特別だった。ごく一般人の変わった家に生まれ、誰にも似てなく難なく生まれた。小さい頃は誰にでも優しい子だったらしい。身体の弱かった僕は数日田舎で療養した。僕はそこが好きだった。周りの街から隔絶されて見渡す限りの深緑。「田舎だ……。」それくらいしか感じなかったけどとても居心地は良かった。そこに居たのは1週間くらいしかいなかったはがもっと長く居た気がする。そのくらい落ち着く場所だった。都会は僕には生きづらかった。
僕は小さい頃から物語が好きだった。現実にありそうな話だけど、絶対にあり得ない。そんな物語が好きだった。今でも時折読む程小さい頃からお気に入りの本がある。吸血鬼の出てくるいかにもファンタジーな話。けれど、どことなく現実の世界に近い話だ。あんな世界に生まれたかったと度々僕は思う。主役になりたいわけではない。活躍したいわけでもない。ただ、その世界に生まれたかった。ただ、現実の世界から逃げたかった。僕はその世界観に憧れていた。僕はよく周りから誤解された。周りの大人は僕を優しい子だと言い、大人びた考え方をするという。それは違う。僕に優しさ何て崇高なものはない。ただ、周りの目が気になるだけだ。だから媚を売る。いつだって、偽善者でいようとしている。いつだって、周りの顔や目が気になってしょうがない。どう思われてるか。これから何を言われるか。誰も気にしちゃいないのに。いつだって顔色を伺って生きてきた。親や学校の先生、友達、近所の人、全く知らない通りすがりの人。人の顔が目が怖くてしょうがない。周りにどう見られたいとかはない。将来何がしたいと聞かれる。立派な大人になりたいと思えない。そもそも立派な大人が分からない。もし生まれ変わるなら人間はもういい。来世は野良猫になりたい。どこへ行っても気にされず、どこでの垂れ死んでも気にされない。期待も同情もされない。自由な暮らし。そんな事を願ってばかりいた。これは、捻くれ者の僕のやり直し。
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高校生最後の年のある日、いつもの朝、いつも通り学校へ行く準備をしていつも通りサドルに跨った。小学生や中学生の登校しているのを傍に見ながら緩い坂道を下っていた。突然のことだった。横の小道からおばさんが飛び出してきた。
「危なぁい!」
キキキィィ…
前にもこんなことがあった。あぁ、これがデジャブか。前は確かおばさんが飛び出して来てぶつかり、こっちが社交辞令で謝っているのを良いことに終始痛がるフリをする。胸糞悪い。なんだって自分からぶつかってきたのに被害者面をするんだ。だから今回はぶつかるものかと思った。当たらない様に大きく避けた。ただそれが誤算だった。避けた先からは車が走って来ていた。しかも大型車。避けられない。
ガンッッ‼︎‼︎
動けず当然の様にぶつかった。視界がぼやける。耳鳴りが酷い。全身が麻痺してる。痛覚だけは敏感になっている。目線の先で、おばさんがそそくさと逃げてる姿が見える。
(くそ…おばさん逃げてやがる…誰のせいでこうなったと思ってるんだ…。誰か…。)
誰もおばさんを止める人はいない。僕の周りに野次馬が群がる。身体が動かない。視界もだんだん暗くなっていった。視界が真っ暗になった。けれど、何故か意識は飛ばなかった。それどころか頭が冴えてる。円周率も言えそうなくらい。
(3.14…14…)
あ、無理だ。目が開けられない。色んな音が聞こえる。野次馬の中から救急車のサイレン。医者の声だろうか。もう手遅れだ。そんな声が聞こえた。何処かに移動する音。女の人の声も聞こえる。
ーーーまだお若いのにねぇ
ーーー高校生らしいわよ
ーーー急に車道へ飛び出したんですって。
ーーー自殺かしら
ーーー何考えてるんでしょうねぇ
ーーー迷惑よねぇ
惨めだ…。知らない人に好き勝手言われるなんて。僕は死んだのか。お経の音がする。家族や知人の声が聞こえる。泣き声も聞こえる。僕の事で泣いてくれる人もいたのか…。そう考えると少し嬉しかった。いや違うか、雰囲気泣きだ。あー…。死んだのか。未練と後悔しか残っていない。あの時あーしていれば。こーするべきだった。あの子に告白すれば良かった。あいつに一発入れれば良かったそんな事ばっかだ。段々と音が遠くなって行く。次第に音はなくなった______________
最後まで読んでいただきありがとうございます。ストレートな感想で構いません。コメントを宜しくお願いします。次話やっと転生します。