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エピローグ

 ダガーナイフの女はそのまま機動隊に身柄を引き渡され、手錠をかけられて連行されていった。

 サンガンピュール「これで一件落着っと!」

 一仕事を終えたような心境でつぶやいたのだが、何か一つ大事なことを忘れている気がする。


 機動隊長「あの~、学校は大丈夫かな?」


 ハッとしてしまった。決闘に気を取られて時間をすっかり忘れてしまっていた。

 サンガンピュール「はっ、しまった!今何時?」

 機動隊長「14時4分です」

 ・・・。一瞬彼女は黙り込んだ。そして、

 サンガンピュール「・・・また授業中の抜け出しでおじさんに怒られる・・・」

 事の重大さを認識し、顔色が青ざめた。5時間目の授業終了1分前だ。保護者であるKからは普段の授業やテストを疎かにしていることで叱責されたことがある。普段は温厚なKの怒鳴り声は怖い。

 サンガンピュール「ありがとうございました!市長さんによろしく伝えて下さい!」

 慌てて挨拶すると、事件現場から周囲の視線も顧みずジェットパックで空に舞い、急いで学校へと戻ったのだった。


 学校に戻ってきたのは5時間目と6時間目の合間の休憩時間中だった。校舎3階の女子トイレには誰かが入っているかもしれない。全速力で校舎に戻ってきたが、校舎内は案の定、生徒のお喋りで騒がしい。だが幸運にもサンガンピュールが戻ってきた時、その女子トイレには誰もいなかった。急いで着替えを保管している個室に入る。そこに入った瞬間、2人ほどの女子生徒が入ってきた。ギリギリセーフだ。

 ライトセイバーや拳銃といった道具をしまい、学校の黒いセーラー服に着替えている最中、個室の外ではこんなガールズトークが聞こえてきた。


 女子A「さっきも話したけどさぁ、2年の塩崎って奴、マジ有り得ないんだけど」

 女子B「そうみたいだよねぇ。授業中に何度も抜け出してさぁ。タバコとかやってんじゃない?」

 女子A「かもねぇ。あたし、あいつと同じ卓球部なんだけど、あいつには自分に何が求められているのか、分かってない感あるよね」

 女子B「どういうこと?」

 女子A「後輩としての立場を弁えてないってこと」


 自分のことを「後輩」と呼ぶということは、3年生か。サンガンピュールは一瞬、個室から飛び出して彼女たちに問いただしてやろうか、殴ってやろうかと思っていた。だが彼女は、自分が「正義の味方」のサンガンピュールという正体を明かすことは固く禁じられている。そのため、ケンカを吹っ掛けたい場面ではとてももどかしい。

 そうこうしているうちに6時間目のチャイムが鳴ってしまった。最悪だ。だがこれでいい。だって、自分が「正義の味方」だとバレずに済むのだから。タイミングを見計らって女子トイレを出た彼女は、畳んだ茶色い戦闘服と武器を、途中の掃除用具入れにしまう。そして急いで自分の教室へと戻ったのだった。



 「サンガンピュールの物語(むごいスーパーヒロイン、町を守る)」~完~

改めまして、初めまして。Nishikenと申します。この小説は、Pixivの小説に投稿しているシリーズものの、短編完結・書き下ろし作品として書いてみたものです。粗雑な箇所が多々あるのではないかと思いますが、「もっとこうした方が面白くなる」など、アドバイスをいただけたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

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