第4章~真の姿~
あまりに突然の出来事にサンガンピュールは事態を読み込めなかった。だがすぐにとある感情が湧いてきた。
女「面白くなってきたでしょ?こんな展開、どの刑事ドラマにも出てこないんじゃない?」
犯人グループの一味が偽装工作のために人質を演じるなんて。こんな汚い手段を利用するなんて、絶対に許さない。こんなヤツらと取引なんて時間の無駄だ。サンガンピュールは敢えて無視した。
その間に人質は全員救助された。刺された若い女性はすぐに手当を受け、病院へ搬送されていった。だが女にとってはこれで邪魔者はいなくなったのも同然だ。女はダガーナイフを取り出した。一対一の決闘が始まろうとしていた。
サンガンピュール「あんた・・・、あんたみたいな、人質を演じてみんなをだますような卑怯なヤツ、一番嫌いなのよっ!!」
女「ふっ、何とでも言いなさい」
サンガンピュール「あたしの本気、見せてあげるんだからっ!」
遂に銀色の筒を取り出した。側面にある赤いボタンを押すと、先端から赤く光る刃が出た。
隊員「出ましたね」
隊長「ああ、彼女の究極の武器、ライトセイバーだ。・・・これで大勢の犯罪者の命を奪ってきた」
サンガンピュールは右手にライトセイバーを握りしめ、ダガーナイフを持つ女との一騎打ちだ。
サンガンピュール「いやぁぁぁっ!!」
掛け声とともに勢いよく突進し、ライトセイバーを女のダガーナイフに勢いよく当てる。だが普通だったらライトセイバーの熱で簡単に相手の武器は溶解するはずなのに、女のダガーナイフはびくともしない。それは女の武器がチタンでできているからであった。
両者とも激しくお互いを睨みつける。
女「ふっ、それだけなの?」
サンガンピュール「・・・まだよ」
女「そうなんだ・・・。じゃあこっちも本気で行かせてもらうわっ!」
女は右手に握ったダガーナイフを思いっきり振り回し、身長130センチほどで幼さがまだ残る勇者の背後に回った。すぐ背後の異変に気付いたサンガンピュールはライトセイバーをダガーナイフに叩きつけた。女はグヌヌといった表情。
5秒ほどの膠着状態の後、サンガンピュールは背後を確認した後、バック転をしながら後ろへ下がった。そして勢いをつけながらもう一度女めがけて刃を振りかざした。何度か刃と刃が交差した後、サンガンピュールは人質を演じていた女のロングの髪を調子のままにライトセイバーで切った。だが女は全くひるまない。店舗内という狭い空間を移動しながら繰り広げられる激戦。
サンガンピュール「あんたたちの目的は何なの!?」
女「目的?・・・それは、遊ぶ金が欲しいからよ!リアルな武器でサバゲーするなんて興奮するわね!」
あまりにも軽くて身勝手な目的だ。サンガンピュールは尚更燃えた。そして何よりも、抜け出している5時間目の終了まで時間がない。このまま一気に決着をつけるしかない。
サンガンピュール「そんなことで、罪の無い大勢の人たちを巻き添えにしてんじゃないわよぉぉっ!!」
ライトセイバーとダガーナイフ、お互いを叩きつけ合う金切り音だけが店舗内にこだました。そして、サンガンピュールが一瞬の隙をついて、出力を増やしたライトセイバーの力でチタン入りのダガーナイフを叩き割った。これで女の武器は無力化された。そして、ライトセイバーの柄の部分で女の頬を思いっきり殴った。女は最後の力を振り絞って立ち上がったが、サンガンピュールがライトセイバーの鋭くて熱くてまぶしい光の刃を女の面前に差し出した。勝負ありだ。
サンガンピュール「無駄な抵抗はやめなさい」




