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RACE

作者: 懸時哀斗

 ゴールだ――――――



 ラインを越え、惰性でそのまま走りながら彼は電光掲示板を見やる



 そこにはレース結果が、


 順位とタイムが表示されている



 その結果を見て、


 彼は落胆する



 いや、


 その結果は見るまでもなくわかっていた


 すでにゴールしてるやつらが徐々にスピードを落としていくのがいやでも目に入る



 くそっ



 吐き捨てるが、


 漏れるのは言葉にならない言葉



 周囲の彼を見る目も冷たく、


 そこに同情の入る余地などない



 くそっ



 彼はもう一度吐き捨て、


 なぜこんなことになったのか考えた




 彼は生まれてすぐに母親と隔離された


 だから母親の姿は覚えていない


 父親についてはあったことすらない


 生まれた時はすでにいなかった



 ただ、


 これらの家庭事情について


 彼が気にすることはなかった 


 彼の周りのやつらもほぼ同じ事情を抱えていた




 それでも彼の飼い主


 ――――――そう、


 「飼い主」と呼ぶにふさわしい人間だった


 彼の飼い主は彼に対してひどい扱いだった


 ちょっとしたことで機嫌が悪くなり彼の食事はなくなった


 お前の両親は速かったのになんでお前は遅いんだと殴られた


 もちろん人目につかないところを


 狭い場所に閉じ込められ外に出してもらえなかった



 それでも結果を求められた



 一緒に走るやつみんなこんなもんだろと思っていたのだが


 ふとしたはずみに彼だけが「特別」な扱いだとわかった




 悔しかった




 結果を出せば扱いも変わる


 そう思った


 ただ残念なことに彼は結果を出せなかった


 その結果さらに扱いはひどくなった


 食事は一日一食あればいいほうになった


 殴られたあざがない日はなかった



 彼は手を抜くようになった


 どうせ受ける扱いが同じなら努力する必要がないと思った


 思っていた






 事情が変わった―――――



 走る姿に一目惚れした


 集団の先頭を駈けて行く姿は荘厳さすら感じられた


 追いかけたいと思った


 自分の命が続くまでともに走りたいと思ってしまった



 あるRACEのあとにきいた


 私より速いこと


 自分を引っ張っていってほしい


 そういっていた



 目的が生まれた―――――


 

 自分を磨いた


 相変わらず蹴飛ばされ食事は少なかった


 たいしたことなかった


 次に彼女と一緒に走るRACE


 その時に彼女の前を走り想いを伝える


 それだけが彼の生きがいになった



 目標は一か月後に迫っていた



「最近アイツ気合入ってますね」


「結果を出せなきゃどうにもならんよ」


「じゃあ、次のレースで最後っすか」


「一着でなかったらな」


「それは・・・無理でしょうね。『あの馬』は速すぎる」


「まぁ、だから実質次のレースで終わりだな。二日に一度とはいえ、ただのごくつぶしだ。せめて最後くらい俺の役に立ってもらおう。食用として売るさ」





 馬主は馬を蹴っ飛ばした

初めから気づいた人もいるかと思います。


この小説・・・ジャンルが分類できず・・・



あと、これは昔ブログでのせたものを一部改訂したものになります

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