ご挨拶。
『そんなのやりたくないよーだ。』
「彩乃ー!!」
お母さんがそういいながら、階段を上がってくる。
えーっと、どーしよー!
……あ!寝ちゃえばいいや!
コンコン。
ドアを叩く音がして、お母さんが入ってきた。「彩乃?…寝てる…?」
そうつぶやくと、下に行ってしまった。
「ふーー!危ない危ない。荷物はこぶなんてやりたくないもん……」
視線に気づき、私は後ろを見る。
「彩乃…?」
「あ。」
ドアから顔を出したお母さんが私をじーっと見てる。
「まぁた、寝たふりして!わかってるんだから!ほら!手伝いなさい!」
「は、はーい。」
私は小さく返事をして、
よっこらしょ。と立ち上がり、荷物を取りに階段を下りていった。
3時間後。
「ふー!おわったー!」
床拭き掃除から始まった荷物運びは、たった3時間でちゃんと過ごせる部屋に達した。
『今日は、一応これでいいか!』
「お母さーん!終わったよー!」
階段を駆け下りながらお母さんに向かって叫ぶ。
リビングに行くと、お母さんとお父さんが、のんびりお茶を飲んでいた。
「あら。終わったの。」
きょとんとしながらお母さんは言う。
「な、ん、で、お茶を飲んでんのよ!」
まあまあ。と、お父さんが静める。
マイペースで天然なのが、お母さんだ。
「隣の方に挨拶に行くぞ。」
「え?挨拶?…やったー!」