家と私
始まりは、私が東京から小さな田舎町に引っ越してきた事だった。
「ずいぶん何もないところねぇ。さすが田舎って感じ。田んぼばっかり」
車にゆられながら、私はつぶやいた。こんなんで、最初の印象はあまり良くなかった。
だた見渡す限りの田んぼと山々。そして、木造の一軒家が所々に五、六件あるくらいだった。私が居た東京とは違って質素だと思う。
「彩乃!着いたぞ。」
あれから何時間たったのだろう。
車から降りると、私の目には大きな家が見えた。
「お、お父さん!?…こ、この家って…」
私の目に飛び込んだのは、大きな家だった。
「気に入ったか?」
目を輝かして家を見ている私にお父さんはドヤ顔できいてきた。
「うん!!」
田舎町には考えられない、レンガとコンクリートで出来たクリーム色の家は、私の想像していた形の家だった。
キィー
入り口の柵の門開けると、ちょっとした庭があって、白い円形の石が玄関のドアまで続いていた。
「入っていい?」
お父さんはニッコリ笑って頷いた。
家の中に入ると、一番最初に目についたのは二階まで続く階段だった。
ドタドタと階段を上がって行くと7~8畳のフローリングの部屋があった。
『あ!私の部屋だ!!!』
ニヤリと笑ってその部屋の床に寝転んだ。
「はーーー!」
床は太陽の熱で温まってポカポカしていた。
「彩乃!荷物を運ぶから手伝って!」