業火の宴
アーサーが閉じていた目を開いた。
時間は夕方辺りだろうか。他の3人はまだ情報を集めている為、今だに目を閉じている。
なぜアーサーが圧倒的に速かったか。それはアーサーが持つ魔術は雷ということにある。光龍には負けるものの、その移動スピードは速い。だから情報集めの時間も短いのだ。それに加え、微弱な電流を脳に流せば、現在のみならず過去も見れ、色々な情報を得られるということもある。
(今回はややこしそうだな)
今回の問題を調べてみてアーサーが思ったことだ。どうやら絡んでくるのは力と負らしい。まあ、力の知名度は低いから一般的には『神の力』なのだが。
力について詳しく説明すると、
1、蒼天柱により造られたものである。
2、力は世界に降り注ぎ、この空気中のなかを漂っている。
3、全ての生き物の体の中にある。魔術、魔術を使うと消費される。
4、人々が言う神々に感謝の気持ちを捧げると、力が消費された分蓄積される。
5、その生き物が死ぬと体から解放される。死因によって行く場所は様々で、もし病死だったら蒼天柱に魂と共に昇っていく。もし殺されたのだったら、殺した者に宿る。
といった感じだ。
一方、負というのは『怨念』『哀しみ』のことで、負を体内に取り込むと一時的に狂気化したり、中毒症状が出る。代わりに、周りをねじ伏せられるだけのパワーを貰える。
そして、今回のは負を取り入れて、生き物を殺し、力を負に捧げ更なるパワーを貰う、いわゆる弱者狩りをするといったものだった。
この教会は罠で体力を消耗させてここに連れ込み、殺す為にあるらしい。道理でサグリアが喜びを見せた訳だ。
(腐った教会だよ)
嫌悪を抱くアーサーの目には、憎悪があった。
夜。それは起こった。
「火事だ!離れから出てるぞ!」
「早く消せよ!教会までまわってきたぞ!!」
「あ・・・今!炎が蛇の形になったぞ!?」
「そんな呑気なこと言ってるなら動け!!死にたいか!!」
教会と小屋を燃やす明るい炎。そしてそれを消そうとする男達。しかし、炎は彼らの仲間や数々のものをすべてを飲み込んでいった。
それを燃える小屋の陰から見つめる4人の人影。この4人は火の近くにいるというのにも関わらず、慌てすらいなかった。
「残りはこんだけしかいないらしいな。まあいい、『炎よ、我が力となれ』」
残念そうに言ってから、魔術を唱えるルギナス。
すると、何もなかった空間から人の形をした青い炎が現れた。目や口といったパーツも何もない、ただの燃え盛る人形。
「派手に遊んでやれ」
ルギナスがそう言うと、青い人型の炎は男たちに襲いかかった。
レゴラスがそれを見、静かに笑いながら言った。
「夜の宴の始まりだ」
アーサーは『雷』、ルギナスは『火』、レゴラスは『水』、ロイドは『土』の力を持っています。